恋する白虎
な、なに、その嬉しそうな顔。

永舜は嬉しさのあまり、そのまま杏樹を抱き締めた。

もお~っ!

……永舜は、捉えどころがない。

キリッとした端正な美貌は、冷たい感じさえする。

あまり表情を変える方でもなく、大声を出したりもはしゃいだりもしない。

どちらかと言うと何に対しても動じたりせず、落ち着き払っている感じだ。

なのに勝手に添い寝はするし、怒られると不安そうにまとわりつく。

……。

杏樹は、冷蔵庫を覗いている永舜を見つめた。

スラリとした長身に、広い肩幅。

かっこいいのになー。

虎なんだよなー。

杏樹は内緒で溜め息をついた。
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