恋する白虎
『杏樹を、俺の嫁さんにしてー』

…慶吾がそんな風に思っていたなんて、本当にビックリだよ。

だって慶吾はバスケ部のエースで、女の子に凄く人気で、私は幼馴染みとして鼻が高くて…。

……永舜は、どう思ったんだろう。

正直、機嫌は悪そうだった。

杏樹は、射るような眼で見つめてきた永舜を思い出して、胸がグッと重くなった。

「永舜……?」

そっと呼び掛けて、永舜の部屋を開けたが、彼はいなかった。

きっと、怒ってどっか行っちゃったんだ。

杏樹は自分の部屋に戻ってベッドに寝転がると、大きく溜め息をついた。
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