あなたの一番大切な人(1)
 馬車の脇から裏道に入り混み、あてずっぽうに走っていたが、いつのまにかベージュのマントの人間も横に走っていた。

 「どこにいくつもりだ、こっちだ。」

 マントを翻して、不思議な青年は裏道を颯爽と駆け抜けていった。

 このあたりのことはよく知り尽くしているようで、行動に全くの無駄がなかった。

 後ろからは先ほどの憲兵が追ってきていたが、案内役が建物の中に入り混んだことにより、ようやく兵をまくことができた。

 二人は少し息を荒くしていたが、どちらもかなりの距離を疾走したにもかかわらず、それほど疲労の色はなかった。

 「やっと、まいたのか?いったい何であんな騒ぎになったんだ。あいつら俺をどこに連れていく気だったんだ。」

 国王はゆっくりとその場に腰をおろし、助けてくれた者を見上げた。

 案内役も少し疲れたのか、顔を覆っていたやわらかい布製のマスクを外した。

 床に座っていた彼は、目の前の光景に釘付けになった。

 動きの素早さや体力から男だと思い込んでいたが、マスクをはぎ取って現れたのは、きらびやかな金箔に近い黄金色の長い髪、すらりと通った鼻筋、薄いが均一なふくらみを持つ唇、切れ長ではあるが透き通った瞳を持つたいそう美人な女性であったのだ。

 彼はゆっくりと立ち上がり、思わずその姿に見とれた。
 
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