あなたの一番大切な人(1)
割れた破片を踏みながら一人二人と憲兵が乱入してきた。そのうちの片方は先ほど、負傷した隊長と呼ばれた男であった。
彼女は、追っ手をまけていなかった事実に直面し、ひどく狼狽したが、こうなったら強行突破しかない、と腹をくくった。
しかし、そんな彼女と兵による緊張感あふれるにらみ合いををぶち壊す、その場に全くそぐわない間の抜けた声が響いた。
「あ、こおんなところにいらっしゃったのですかあ。探すの苦労しましたよぉ。」
後ろから扉を開けて派手な赤いマントの男が入ってきた。
クリクリと愛らしい眼をしたショートカットの人間はつかつかとこちらに歩み寄り、彼のもとに立ち止ると、ニコリとほほえんだ。
「酒場にいっちゃ、だめですよぉ、って伝えたじゃあないですか。もぉ。ちゃんと聞いてくださいよ、おおさま☆」
なれなれしく肘で国王を小突いているのは先ほど国王の部屋でお忍びを見逃した、ミッドレー・ライトだった。
憲兵二人もこちらに近づいて大きな声を出した。一方は心配する声で、他方は苛立ちがあふれる声だった。
「店に入ったら、あなた様がいらしゃって、その時の私どもの心境がいかほどだったかおわかりですか。」
「ふざけんなよ、あほ。取り締まり対象になってる物を持ってる人間、みすみす逃がしたりすると思うか、どあほ。それがたとえこの国の王さんであってもだ。」
彼女は、追っ手をまけていなかった事実に直面し、ひどく狼狽したが、こうなったら強行突破しかない、と腹をくくった。
しかし、そんな彼女と兵による緊張感あふれるにらみ合いををぶち壊す、その場に全くそぐわない間の抜けた声が響いた。
「あ、こおんなところにいらっしゃったのですかあ。探すの苦労しましたよぉ。」
後ろから扉を開けて派手な赤いマントの男が入ってきた。
クリクリと愛らしい眼をしたショートカットの人間はつかつかとこちらに歩み寄り、彼のもとに立ち止ると、ニコリとほほえんだ。
「酒場にいっちゃ、だめですよぉ、って伝えたじゃあないですか。もぉ。ちゃんと聞いてくださいよ、おおさま☆」
なれなれしく肘で国王を小突いているのは先ほど国王の部屋でお忍びを見逃した、ミッドレー・ライトだった。
憲兵二人もこちらに近づいて大きな声を出した。一方は心配する声で、他方は苛立ちがあふれる声だった。
「店に入ったら、あなた様がいらしゃって、その時の私どもの心境がいかほどだったかおわかりですか。」
「ふざけんなよ、あほ。取り締まり対象になってる物を持ってる人間、みすみす逃がしたりすると思うか、どあほ。それがたとえこの国の王さんであってもだ。」