あなたの一番大切な人(1)
 それを受けて彼女は激昂し、力を一定に保ったまま何度も剣裁きを繰り返した。

 周囲の憲兵はいきなり始まった乱闘に衝撃を受け、いつでも助けに入れるように構えた。

 しかし、国王は彼女の剣を徐々に片手で受けるようになり、逆に彼女を追い詰めるまでにいたった。

 殺気だって我を忘れていた女性は、自分が隙を見せていることに気づいていなかったのだ。

 しばらく剣を混じらわせて乱闘を楽しんでいたが、とうとう彼は決着をつけたくなり、剣を繰り出す彼女の左腰めがけて足を繰り出した。

 不意打ちをくらい、左腰に鋭い痛みを感じたが、彼女はそれを受け止めて数歩下がって体制を立て直そうとした。

 しかし、その一瞬の隙を彼は見逃さなかった。
 国王は身体を半分ねじり、その反動を利用して彼女が右手に握る剣を振り飛ばした。

 剣は何度も弧を描いて遠くに弾き飛ばされた。カシャカシャと、剣が地面に擦れる音がこだました。

 「…っ」

 国王はゆっくりと彼女の首元に剣先をむけた。

 「チェックメイト」

 
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