あなたの一番大切な人(1)
 しかし、しばらくたっても何かが身体に触れる感触はなかった。

 私は恐る恐る目を開けると、憎い男と眼が合った。

 私は抵抗しようと思うが、彼に何かされるのではないかという恐怖に支配されて、何も言葉がでなかった。

 そんな私を静かに見つめながら、彼は眉根を上げた。

 「僕の質問に何でも正直に答えますか?」

 彼は、真顔で私を見つめながら、しばらく答えを待っていた。

 しかし、私は先ほどの恐怖から心拍数が上昇し、息をすることもやっとだった。

 口を結んだままの私に苛立った彼は、迷わず私の乳首に彼の舌を当てた。

 そこから体中を駆け巡る薄気味悪い感覚とらえられ、心からの拒絶の叫びをあげた。

 泣きながら、私はただひたすら言葉を繰り返した。

 「こたえるから…もうやめて…」

 思い出したくもない忌まわしい記憶が鮮明によみがえった。

 暗く汚く卑しいあの男の行為。

 ようやく彼は長髪ストレートな元の姿に戻り、私から光のトゲを抜き取り拘束を解いた。

 後ろにあったビール棚はすぐさま灰色の煉瓦の壁に戻り、足元のベッドの上に私は崩れ落ちた。

 解放されたあとも私の心には恐怖が残り、肩で息をするほどだった。

 「その胸、はやくしまったら?」

 私は不覚にもその場に崩れ落ち、露わになっている豊かなふくらみに気づかなかった。

 相手は、鉄格子に持たれて、腕を組んでこちらを見下していた。

 -恥ずかしい…-

 ひどい動悸とめまいに襲われ、顔がだんだんと火照ってくるのを感じながら、私は急いで乱された胸元を戻した。
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