あなたの一番大切な人(1)
 彼もそのことを重々知ったうえで、とぎれとぎれに言葉を発した。

 「ぼ、ぼくはあんな刺激的なこと普段しないですもん。あんなにあなたが乱れて喘ぐ姿を見て、どうかしない方がおかしいですよ!」

 その言葉に私は大きく目を見開いて、二歩三歩と後ずさった。

 -こいつは私が受けた仕打ちの一部始終を見たというのか-

 私はふらふらと、先ほど国王が腰かけていたベッドに座り込み、恥ずかしさのあまり顔を隠した。

 彼はどこから取り出したのか、紫色の扇子で顔をパタパタと仰ぎ始めた。その目はあらぬ天井の方を見つめていた。

 「ぼ、ぼくはあれ以上のことやれないので、嘘とか言われるならだれかにかわりにやってもらわないといけないんですよ。例えば…陛下とか…?」

 私はいきなりのひどい提案に驚き、顔を上げて男をにらみつけた。が、彼は一向にこちらを見ずにつづけた。

 「いっときますけど、彼の女性好きはちょっとやそっとじゃありませんよ。昨日よりもっと激しく強く突かれちゃいますよ。いいんですか、嫌ですよね。」

 そういうと大きな目をわざと細めてこちらをちらりと確認した。

 私は、ただひたすら唇をかみしめ、自分がおもちゃにされている現状に苛立った。

 「だったらはやく聞いたらどうなんだ。何が聞きたい、昨日の男との情事か、それともお前がいう陛下様との情事の想像か。ああ、どちらも最悪だね。」

 私は明らかに怒りで苛立っていたが、彼はすっと口を開いた。
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