あなたの一番大切な人(1)
 再び看守がこちらに近づいた気配があったが、もうそんなことなどどうでも良かった。

 身体の火照りが最高潮に達し、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。

 するどい爪で胸をかきむしりながら、私はぼんやりと動く小瓶を見つめていた。

 -あぁ、もうすぐ死ぬのか…-

 そう思うと自分の人生はいったいなんだったのか、悔しさで涙があふれてきた。

 しばらくすると、再び視界がぐにょりと曲がり、小瓶を手にした男が現れた。

 -あ、やつだ。なんとか逃げないと…-

 いつも小瓶の代わりに身体の関係を強要する、不潔で気持ち悪い男が再び私の上にまたがってきた。

 身体がそりかえるのを感じながら、何度も両手で相手を押しのけ、抵抗しようとするが思うように力が入らなかった。

 いつものようにニタニタ笑いながら顔をこちらに近づけてくるが、その片手はいつもと異なり私の首を抑えつけていた。

 もう片方の手で両手を頭の上で縛られ、私は死をただ覚悟した。

 しかし、その次の瞬間ぐにゃりと曲がった視界が元に戻ったのだ。

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