あなたの一番大切な人(1)
 次に目を覚ました時、私は今までみたことのない高い天井の部屋にいた。

 よく見るとそれは天井ではなく、木製の天蓋の柱であった。

 柱と柱の間の空間は薄い黄色のサテン生地の布が占めていたが、その下の方はベッドのせいで見えなかった。

 身体をゆっくり起こすと、するりと肩から見覚えのないマントがずり落ちた。

 それを拾い、周囲を見渡すが大きなベッドの中央には私しかいなかった。

 そのベッドに手をつくと、深く柔らかい弾力が感じられた。

 -綿が豊富に使われたマットレス-

 自分が安置されているところがただの民家ではないことを悟った。

あたりを見回し、誰の気配も感じないことを確認すると、ふと自分の唇に手を当てた。

 特に何かあるというわけではないのだが、なぜか心臓がコトコトと音を立てていた。

 残されたマントが誰の者かはわからなかったが、包み込まれるぬくもりを感じたような気がした。

 ベッドの左手に装飾された木製の椅子があったが、その上品なアラン模様の腰かけの上に服が置かれていた。

 それを手に取るとすらりと長い上下の紺色の軍服だとわかった。

 ふと自分の服装を見ると、ぎょっとした。

 胸元が半分ほど切り裂かれ、大きな爪痕が肌に残っていた。

 誰かはわからないが、ここに運んでくれた人は胸元を隠すためにマントを残したのかもしれない。

 そう思うと、心優しき自分だけの王子が現れたような気がした。
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