千年の時空を越えて




すると、牢屋の前に、伊東さんの弟子の篠原さんが、立っていた。




雪「土方副長に、お会いしたいんですが・・・。」



篠原「無理だな。伊東先生から、誰にも会わせるなと仰せつかっている。」




雪「へぇ・・・。そう・・・。土方副長が、金策をしたんですか?」



篠原「あぁ。あいつは、自分の作った法度で、裁かれる。」




雪「そういえば、篠原さんって、お富さんに惚れてるそうですね・・・。」



篠原「なっ!」



私は、前に遊郭にバイトに行ってから、たまにバイトに入っていた。





そこで、聞いたのだ。




まぁ、お富さんは、「どうやら、篠原に好意を持たれて、気分が悪い。大嫌い!寒気がする」と、言っていたが・・・。



彼女は、土方さんに、惚れてる。





雪「もし、土方副長に、会わせてくれるなら、お座敷で、隣に座って貰えるよう頼んであげますよ?」



篠原は、お富さんから、お座敷拒否を受けている。




土方さんがピンチと言えば、一回くらいお座敷に入ってくれる。




私は、その場で、お富さんに文を書いた。




私は、それを、山崎さんに託した。









しばらくして、山崎さんが、文を持って帰ってきた。




雪「『雪之助様へ。雪之助様と土方様の為なら、喜んで。』と書いてます。」




篠原「ま・・・真かっ!?」




私は、文を篠原さんに渡す。




何度も何度も読み返して、篠原さんは、文を胸に押し当てている。




雪「私が、土方副長と会えたと文に書けば、会えますよ?さぁ・・・。どうしますか?」




こんな、回りくどいやり方じゃなくても、忍び込めば良いのだが、何があるかわからない。




仲間の裏切りも、何かの役に立つ。




篠原「わかった・・・。伊東先生には内密だ・・・。それと、必ず、お富さんに文を書け・・・。わかったな?」



私は、牢屋に入った。




丞「お前、凄いな。」




雪「まぁ、こんなのは、慣れていますから。さぁ、山崎さん、行きましょう。」





牢屋の隅の所に、土方さんは、胡座をかいて、眉間に皺を寄せて、殺気を垂れ流していた。




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