千年の時空を越えて

すると、目的のオトモダチの家に着くと、待ってろと言う。


いやいや、なんぼ何でも、それは絶対あかんで。


いくら、好きな子の願いでもあかんもんはあかん。しかも、これは、間者かもしれん彼女の監視。


もう10日ほど、屯所におったんやから、情報を敵に、渡されるかもやしなぁ・・・。


断り続けてたら、「好きな人の相談とかしたい」と言って意味有り気に俺を見てきた。


え?おいわちゃんも俺のこと・・・?


初めて、会った日の夜に、総司の部屋に連れて行かれて、次の日、<何か>あったであろう彼女を見て、総司の事が好きなんかもって思ったけど、俺?俺やったん?


嬉しくて飛び上がりそうになるのをぐっと堪えた。なんとか、それでもあかんって言えた。


そしたら、何か、渡してきた。


なんやこれ!?そこには、可愛い子がいっぱい描かれてて、特に猫の姿の子が可愛かった。


この“ほとぐら”と交換で、外で待つことにした。


だって、ほんまに恋の悩みとかやったら、俺がおったら話されへんみたいやし・・・。


思わず、頬が緩む。


そして一応、志乃さんの家を確認して、出口の見える所で、さっきもらった本を見ながら、待った。


そしたら、「良かったねー」とか女特有のキャッキャッする声が聞こえてきた。


二人が家に、入るのを確認して、本を眺める。


白にゃん可愛いなぁ…でもどっかで見たことあるなぁ。


ん?この肩、そして、この胸辺り。コレって・・・。


「おいわちゃんやん!!!」


おいわちゃんの今の姿と全く別人の本の中のおいわちゃんの姿。これが解るんやから俺の愛って凄いとか思ってまうわ。


そして、どのページもおいわちゃんだと解り、「家宝にします。」と呟いた。

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