続・元殺し屋と、殺し屋







「ところで、レイが帰ったら、カナメ役がいなくなるな」



暫く考えた恭真が、クイッと窓際に立っていたある人物を見た。




「月宮。
レイの代わりに、カナメ役、やってくれるか?」




月宮くんは文化祭実行委員のため、何かの役とかになったり裏方をしたりとかはしないけど、こうして全部の劇の練習に立ちあっている。




「…僕が?
久保田がやれば良いじゃないですか?」




表情は変えないけど、嫌そうなオーラが漂っている。




「総司にはビデオを頼むから」

「ビデオ、ですか?」

「紅羽の演技のどこがいけないとか、どこが良いとかビデオに録画して、家で見てくるんだよ」

「そこまでしなくても良いのでは。
先々週や先週、神崎が監督の時はやっていませんでしたよ」

「レイはレイ、俺は俺。
頼んだからな、総司」

「りょーかーい」




そう言って恭真のスマホをかまえる総司。

裏方含め、男子は恭真・総司・月宮くんしかいない。

その中で澪鵺の代役を務められるのは、月宮くんだけだ。

…総司は女性恐怖症だから。

彼女である花菜にさえ近づけないのに、私に近づけられるわけがない。

そのことを配慮し、恭真は総司に“ビデオを撮る”と言う役目を渡したのだろう。

こうすれば、月宮くんが代役になるから。

恭真、頭良いよね!






< 151 / 308 >

この作品をシェア

pagetop