続・元殺し屋と、殺し屋
疑いの目を恭真と総司に向ける月宮くんだけど。
手に持っていた台本を置き、シュルリとネクタイを緩めた。
そして私の前に立つ。
…こう改めてみると、結構月宮くんかっこいい。
癖のある黒髪。
二重の下向き加減の眼鏡の奥の瞳。
全体的に整った顔立ち。
背も私より高い。
スラリとしていて、澪鵺みたい。
…澪鵺みたいって、失礼かな。
だって澪鵺の方が、何万倍もかっこいいもーん!
澪鵺を思いだし1人ヘラヘラしていると。
月宮くんがふっと笑う。
「…な、何?」
「……いや、何でもない」
先ほどの笑みが嘘のように、月宮くんは無表情になる。
その切り替わりように首を傾げていると、月宮くんが「早く」と呟く。
なので、私もユメナ役になりきれるよう、瞳を閉じた。
この時澪鵺がどこにいたのか。
私が知るのは、次の日だった。