短編集『秋が降る』
「そ、そんなの信じられない!」

もう一度手を見ると、元通りの自分の手になっている。
さっきまでのシワシワの手じゃない。

そっか・・・わかった。

これも人体実験の一環。
催眠術のように信じ込ませられる薬なんだ。

あやうく信じるところだった。

「私は信じない。みんなそんなウソついてなんになるの? もうたくさん! 出て行って、出て行ってよ!」

ベッドに横になり毛布を頭からかぶった。

「おふくろ・・・」

「うるさい! 出て行け!出て行け!」

「興奮していますので、しばらく出ましょう」
杉浦先生がお父さんに声をかけた。

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