短編集『秋が降る』
「そんなの・・・信じられない」

私は杉浦先生を見た。
いったい今何が起こっているのかがわからない。

「カナさんは? カナさんは私の話を聞いてくれた。佐藤さんも!」

「みなさん認知症を主症状とされる方たちです。あなたには違って見えていたかもしれませんが、みなさん高齢の方たちです」

ふと、自分の両手が視界に入った。

「なにこれ・・・」

私の手は、シワシワだった。
血管が浮き出ていて、乾燥して色も黒い。

私が80歳・・・。

目の前にいる人は、お父さんじゃなくて子供・・・。

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