短編集『秋が降る』
ドンッ

体がドアに思いっきりぶつかる。

「開かないっ」

車のドアは何度レバーを引いても、外には開かなかった。

「なんで、なんでっ!」

「おい」
すぐに手をつかまれた。

「いや!」

「チャイルドロックがかかってんだよ。中からは開かねぇよ」

何を言っているのかわからない。
パニックになったまま、私は体中を動かして暴れた。

「いやあああああ!」

口からは悲鳴が途切れなく出た。
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