短編集『秋が降る』
さっきまでの混乱は続いているけれど、私は思ったままに叫んだ。
「やめてよ! なんで私をそんな目で見るのよ。お父さんが新しいお母さんを連れてきたからこんなことになったんじゃない! 追い出すためにお見合いとか人体実験とか、それでも親なの!?」

「・・・違う」

お父さんがしぼりだすような声を出した。

「違わないじゃない! 私がどんな想いで毎日過ごしてきたか、お父さんにはわからないのよ!」

限界だった。

これ以上言葉にできない。
嗚咽がこみあげ、声をあげて泣いた。

泣いても泣いても、涙が止まらない。

お父さんが、打ちひしがれたかのように床にひざをついた。
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