短編集『秋が降る』



「違うんだ。僕は君のお父さんじゃない」



一瞬、思考が停止。


理解できない言葉を聞いたかのように、頭のなかで繰り返す。


ボクハ、キミノ、オトウサンジャ、ナイ


「な・・・なに言ってるの?」

お父さんはこれ以上ないくらい苦しい顔をしている。


「僕は・・・君の子供なんだよ、おふくろ」


お父さんの目から涙がひとつこぼれた。

「え・・・?」
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