嘘つきなあなたからの恋文。
「理科室開いてるの?」
「うん、偶然ね」
「じゃあ、隠れていようよ。
残り5分もないし」
「うん、そうだね」
コタくんの言う通り5分切ったし、誰か来ても隠れればいっか。
もう一度静かにドアを開け理科室に入る。
「2人で理科室って何だか不思議だね」
「…そうだね」
改めてコタくんの口から出て気づいた【2人きり】という今。
何だかさっきとは違ったドキドキ感で緊張がまたチラつく。
気付かれたくなくて視線を時計に向けた。
「逃げ切りたいね」
「そうだね」
時計を見れば残り3分も切っていた。
「コタくん、あともう少し」
笑ってコタくんを見ると、
コタくんは理科室の窓から見える綺麗な真っ青な空を見ていて、
少し口角を上げて笑っていた。
そんなコタくんを見て、何故か私は自然と口が動いていた。
「コタくん」
いつもより小さな声でコタくんの名を呼ぶ。
「ん?」
そしてまた、コタくんもいつもより小さな声で返事をした。