嘘つきなあなたからの恋文。
「そっち行ったか?」
「いや、見なかったぞ」
「小池どこ行ったんだ?」
「分かんねぇ。けど、あいつには気をつけろよ。
タマ狙ってくるからな」
「あぁ、本当末恐ろしい奴だよ。
隣の校舎行ってみようぜ」
「おぅ」
廊下の足音が遠くなったのを見計らって静かにドアを開けて理科室から出た。
「危なぁ…理科室が開いてて良かった」
腕時計を見ると終了まで残り5分を切った。
あともう少しなのに易々と捕まるなんて溜まったもんじゃない。
理科室にずっといても良いけど団体で来られても困る。
「やっぱり走ろうかな」
1人廊下で悩んでる時だった。
「あれ、小池さん」
いきなり廊下の角から出て来たコタくんに身体がビクついた。
「び……っくりした〜」
鬼かと思っちゃった。
「偶然だね。まだ捕まってなくて安心したよ」
近づくにつれ、はっきりと見えるコタくんの柔らかい笑顔に緊張が解れた。
「どうする?残り5分」
「今悩んでたんだ。隠れるか逃げるか」
2人で廊下のど真ん中に立って悩む。