私の師匠は沖田総司です【下】
「総司ィィィィィィィ!!」
おや?どこからか平助君の声がしますね。
すると、どこからともなく現れた平助君が鬼の形相で私の所までくると、手を握る組長の手をバシッと叩きました。
「イタッ!!平助、何するのさ!」
「総司こそ何やってんでい!!気安く嫁入り前の妹に触らねェでくだせェ!!あ~、もう。この頃総司まで蒼蝶に色目を使いやがって、兄ちゃん心配でさァ」
「い、色目なんて使ってないし。天宮さんの手を温めてただけだから」
「妹の手は俺が温めますぜ。総司は冷たい水で洗濯しなせェ。あ~、本当に蒼蝶の手は冷ェな」
不機嫌な組長に目もくれず平助君が私の手を包み込んでくれます。
平助君の手は組長よりも小さいけど、ガッチリしていてやっぱり男の人の手だなと思いました。
「平助君、もう大丈夫ですよ。私もお洗濯をします」
「いや、もう少し温まってからにしろ」
平助君とも組長とも違う落ち着いた声がすると、背後から抱きしめられました。