私の師匠は沖田総司です【下】

組長たちが手伝ってくれたおかげで、山のようにあった洗濯物はあっという間に消えてしまいました。

「皆さん、ありがとうございました」

「気にすんな。妹を助けるのが兄貴の役目でさァ」

平助君が私よりも大きな手で荒っぽく頭を撫でてくれます。

口調と言い、こういう兄貴肌っぽいところが本当に江戸っ子って感じがしますね。

「それにしても、蒼蝶が洗濯物を落とすなんて珍しいですねィ」

平助君の言葉に俯き、唇を噛みしめた。

本当は私が洗濯物を落としたわけじゃない。洗濯物を汚したのは艶子さんのせい。

……そうは言いたくても、言ってしまったら平助君たちの命が危ない。

いつ、どこで、艶子さんの仲間が見ているか分からないから。

「すみません。少し、風邪でボーっとしているだけです。これからは気をつけます」

「……副長に言って休暇をもらったらどうだ」

「大丈夫です」

私は今、艶子さんのいいなりだから休めるわけがない。

ごめんなさい、斎藤さん。心配してくれるお気持ちだけで嬉しいです。
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