私の師匠は沖田総司です【下】
「おまえら!」
「土方さん?どうしたんですか慌てて」
呼吸を少し乱した土方さんが私たちのところに走ってきました。
いつも冷静な土方さんが慌てるなんて珍しいですね。
「山南さんが目を覚ました!」
「え!?」
「土方さん!それ、本当ですか!?」
組長が土方さんの肩を掴み、ガックガック揺らします。
若干悪意を感じる程揺れる土方さんの身体に伴い、彼の艶やかな黒髪も華麗に舞っています。
「総司……落ち着け。本当だ、山南さんの嫁さんがさっき来たんだ」
「それで、山南さんの状態は……」
「意識もはっきりしているらしい。だが……」
土方さんが表情を曇らせる。
やはりどこか悪いのでしょうか。
「とにかく、今から俺は山南さんの家に行く。天宮、おまえもついて来い」
「私、ですか?」
「そうだ。おまえ、山南さんの嫁さんと仲が良いんだろ?俺が一人で行くよりもいいと思ってな」
「なるほど……。分かりました」