私の師匠は沖田総司です【下】
私が了承すると、土方さんは一方的に「玄関で待ってるから準備しろ」と言って去っていきました。
私は組長たちにお礼を言ってから準備(といっても刀を腰に差し、髪を少々整えるだけですが)をして玄関へと向かいます。
留守中、艶子さんのことが気になりますが、それ以上に山南さんのお見舞いに行きたい。
だって、山南さんは私のせいで大怪我をしてしまったのだから。
……一目だけでも見て、少しでも安心したいのかもしれません。
「おまたせしました」
「おう。行くぞ」
さっさと出ていく土方さんの後を追います。
途中でお見舞いのお菓子を買っていきました。
山南さんと明里さんの家は屯所から歩いて15分と掛からない場所にあります。
小さな庭があり、二人で暮らすには十分な広さの家です。
土方さんが玄関の戸を叩くと、中から明里さんが出てきました。
その表情は少しやつれて見えます。
「土方はんと蒼蝶ちゃん、よう来てくだはりました」
明里さんは私たちを中に通すと、すぐに山南さんの部屋に案内してくれました。