私の師匠は沖田総司です【下】

「土方君と天宮君ではありませんか」

「山南さん……」

部屋にいたのは痛ましい姿をした山南さんの姿でした。

山南さんは布団に横たわったままいつもの優しい笑みを浮かべるけど、胸にはズキッとした痛みが走る。

明里さんは静かに部屋を出て、その部屋には私たち三人だけになりました。

「この状態ですみません」

「いや、いい。身体は大丈夫か?」

「ええ。まだ満足に起き上がることはできませんがね」

「そうか。それで、山南さんを襲った奴のことなんだが……」

土方さんの言葉に山南さんは悲しげに目を伏せました。

「……すみません。記憶がないのです。襲われた部分の記憶が霧がかかったように、曖昧にしか思い出せません」

山南さんはもう一度「すみません」と、申し訳なさそうに謝りました。

私は山南さんの頭に巻かれている包帯を見ました。

もしかしたら頭に強い衝撃を受けて、一時的に記憶を失っているのかもしれない。

記憶が戻るのは今日か明日か、数日後……もしくは一生思い出さないかもしれない。
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