ポーカーフェイス
真離は廊下をカツカツと黒いヒールで歩く。

すると先程の上司が真離を大声で呼びながら急いで追いかけてくる。

上司「おい!おい!秘女乃くん?ちょっとストップ。」

上司の呼び止める声がしたので、早歩きの真離は振り返らずに急に足を止める。すると猛ダッシュで追いかけてくる上司は真離にぶつかりそうになる。

上司「おい、急に止まるなよ。危ないなぁ。」

真離はふっと急にまた振り返る。
真離の顔が思ったよりモロに近い場所にあり、一瞬その上司はドキッとした。
そんな上司にお構い無しに真離は冷静に言葉を放つ。

真離「なんですか?ストップと言われたから止まったんです。」

そう真離はビビることなく上司に言った。
思わず上司は固まる。が、正気を取り戻し一歩後ろに下がって一息ついていった。

上司「はぁ…今日は仕事後飲み会だ。昼食休みにしてくれないか。その話。」

真離はじっと上司をみて言う。

真離「わかりました。後からお伺いします。」

そう言ってまたクルッと後ろを振り返り一直線に廊下を歩き始めた。
そんな真離の様子に最後に上司は一瞬視線を反らしてため息をつき注意をする。

上司「ちょっと、秘女乃くん!君は生意気だ。大体な…」

そう言いかけるともう目の前には真離はいなくなっていた。
上司「はぁ。全く、猫みたいな奴だな。やれやれ」
いつもすぐに居なくなってしまう真離に呆気を取られ上司は注意をするのを諦めた。
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