スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
車がシェアハウスに向けて走り出して30分が過ぎ、荒木さんが運転しながら何度も腕時計を確認しているので、どうしたんだろう?
「何か気になりますか?」
「野球のラジオ放送を聴いてもいい?」
荒木さんが少し申し訳なさそうに聞いてくるけど、“Scoperta”の記事に役に立てようと普段からスポーツの情報にアンテナを張ってるんだなと思うし、映像とラジオ放送の違いも知れるし、聴いてみたいな。
「良いですよ。私も聴いてみたいです」
「運転中で手を離せないから、黒のボタンを押すと液晶画面が点いて赤を押すとラジオに切り替わる。矢印で78.5の数字で選ぶと野球の放送が流れる」
荒木さんの言われた通りにボタンと液晶画面を操作すると、スピーカーからラジオ放送の音声が聞こえる。
『◯◯ナイター、本日はGW中の試合は驚異の5連勝を飾って首位を独走しているチームと、3位のチームとの3連戦の初日です』
アナウンサーの言葉は早くても聴きとりやすく、ハキハキしていて、1つ1つの投球や打席についても臨場感たっぷりに話をしている。
「……」
「……」
お互い静かにラジオ放送を聴き、時折ホットミルクを飲んだりしながら過ごすけど、なんかこの空気感って良いな。
『次の打席は4月の開幕戦からヒットを打ち続けている打者です。本日もヒットを打てば球団記録を更新します』
私は後部座席から自分のクッションを取って、キュッと抱きしめながらラジオ放送を聴き、ラジオだとその場を見れないから物足りないけど、ラジオのアナウンサーが必死に伝えようと言葉を沢山伝えてくる。
『さぁ、カウントはツーストライク。投手が捕手のサインに頷き、投球の姿勢に入り、打者もバットを握る姿勢が先ほどは違い、お互いの視線が熱いです』
ゴクリと唾を飲み、どんな結果になるかクッションを強く抱きしめる。
『投げた!振ったぁぁ!』
ラジオからはボールが打たれた音ではなく、バチンという音が聞こえた。
『三振!三振です!球団記録は更新ならず!』
『あぁ、打者は崩れ落ちて悔しそうに何度も右手でグラウンドの土を叩いています』
ラジオからは会場内の歓声や拍手が聞こえ、ラジオ越しからでもその光景が浮かぶ。
「野球というか、スポーツって良いですね」
「うん」
「まだ四つ葉に入ったばかりですけど、スポーツの魅力や雑誌を作る“発見”がいっぱいです」
「それが高坂さんが雑誌のタイトルにした理由」
荒木さんが前を向きながら“Scoperta”の由来について話し、出版業界の合同説明会で四つ葉出版社の説明をしていた人も由来を話していたよね。
「私、ここに入って良かったです」
「うん」
「絶対、休刊にならないようにしたいです」
信号が赤になり、車が静かに停まると、荒木さんが大きな左手を私の右頬にそっと添える。
「俺も同じ」
「……」
私は黙って頷いで、瞼を閉じて大きな左手の温もりを感じる。
「そのまま目を開けないで」
え?どうしてー…まさかー…
『さぁ!攻撃は相手チームの5番打者からです』
『ププー!!』
スピーカーからラジオ放送のアナウンサーの大きな声がし、そして車の後からクラクションを鳴らされ、荒木さんの大きな左手が私の右頬からパッと離れ、瞼を開けると信号がいつの間にか青になっていて、私たちの車は動き出した。
「…〜…」
助手席のシートに深く体を預けて、顔が熱くなってきたので自分のクッションを顔に持って埋める。
もしクラクションやラジオ放送の声がしなかったら、あのまま荒木さんとキスをって何でそう思っちゃうのか、でも雰囲気がそう後押ししていたし、そっとクッションをどかして荒木さんの方を見ると、ほんの一瞬街灯のライトで荒木さんの耳が真っ赤になっているのが見え、また私も耳が熱くてそれが収まるまで、ずっと荒木さんを見ずにラジオ放送を聴きながら外の景色を見続けた。
「何か気になりますか?」
「野球のラジオ放送を聴いてもいい?」
荒木さんが少し申し訳なさそうに聞いてくるけど、“Scoperta”の記事に役に立てようと普段からスポーツの情報にアンテナを張ってるんだなと思うし、映像とラジオ放送の違いも知れるし、聴いてみたいな。
「良いですよ。私も聴いてみたいです」
「運転中で手を離せないから、黒のボタンを押すと液晶画面が点いて赤を押すとラジオに切り替わる。矢印で78.5の数字で選ぶと野球の放送が流れる」
荒木さんの言われた通りにボタンと液晶画面を操作すると、スピーカーからラジオ放送の音声が聞こえる。
『◯◯ナイター、本日はGW中の試合は驚異の5連勝を飾って首位を独走しているチームと、3位のチームとの3連戦の初日です』
アナウンサーの言葉は早くても聴きとりやすく、ハキハキしていて、1つ1つの投球や打席についても臨場感たっぷりに話をしている。
「……」
「……」
お互い静かにラジオ放送を聴き、時折ホットミルクを飲んだりしながら過ごすけど、なんかこの空気感って良いな。
『次の打席は4月の開幕戦からヒットを打ち続けている打者です。本日もヒットを打てば球団記録を更新します』
私は後部座席から自分のクッションを取って、キュッと抱きしめながらラジオ放送を聴き、ラジオだとその場を見れないから物足りないけど、ラジオのアナウンサーが必死に伝えようと言葉を沢山伝えてくる。
『さぁ、カウントはツーストライク。投手が捕手のサインに頷き、投球の姿勢に入り、打者もバットを握る姿勢が先ほどは違い、お互いの視線が熱いです』
ゴクリと唾を飲み、どんな結果になるかクッションを強く抱きしめる。
『投げた!振ったぁぁ!』
ラジオからはボールが打たれた音ではなく、バチンという音が聞こえた。
『三振!三振です!球団記録は更新ならず!』
『あぁ、打者は崩れ落ちて悔しそうに何度も右手でグラウンドの土を叩いています』
ラジオからは会場内の歓声や拍手が聞こえ、ラジオ越しからでもその光景が浮かぶ。
「野球というか、スポーツって良いですね」
「うん」
「まだ四つ葉に入ったばかりですけど、スポーツの魅力や雑誌を作る“発見”がいっぱいです」
「それが高坂さんが雑誌のタイトルにした理由」
荒木さんが前を向きながら“Scoperta”の由来について話し、出版業界の合同説明会で四つ葉出版社の説明をしていた人も由来を話していたよね。
「私、ここに入って良かったです」
「うん」
「絶対、休刊にならないようにしたいです」
信号が赤になり、車が静かに停まると、荒木さんが大きな左手を私の右頬にそっと添える。
「俺も同じ」
「……」
私は黙って頷いで、瞼を閉じて大きな左手の温もりを感じる。
「そのまま目を開けないで」
え?どうしてー…まさかー…
『さぁ!攻撃は相手チームの5番打者からです』
『ププー!!』
スピーカーからラジオ放送のアナウンサーの大きな声がし、そして車の後からクラクションを鳴らされ、荒木さんの大きな左手が私の右頬からパッと離れ、瞼を開けると信号がいつの間にか青になっていて、私たちの車は動き出した。
「…〜…」
助手席のシートに深く体を預けて、顔が熱くなってきたので自分のクッションを顔に持って埋める。
もしクラクションやラジオ放送の声がしなかったら、あのまま荒木さんとキスをって何でそう思っちゃうのか、でも雰囲気がそう後押ししていたし、そっとクッションをどかして荒木さんの方を見ると、ほんの一瞬街灯のライトで荒木さんの耳が真っ赤になっているのが見え、また私も耳が熱くてそれが収まるまで、ずっと荒木さんを見ずにラジオ放送を聴きながら外の景色を見続けた。