スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
熱帯魚の水槽の側に行き、餌が入っているケースの蓋を開けて夜用の餌を幾つか水槽に入れると、熱帯魚達は餌に群がって食べ始める。

「お留守番、ありがとう」

熱帯魚達は返事はしないけど、優雅に泳いでる。

眼鏡を外して机の上に置いて、着替えとタオルを持って部屋を出て、階段を降りてお風呂場に入り、洗濯機に今日着た服を入れ、浴室に入って普段はシャワーで済ますけど、運転したし、湯船にお湯をはって、丁度いい量になるまでシャワーで全身を洗う。

髪を洗い、身体も綺麗になってすっきりし、丁度いい量になった湯船に入ると、相当疲れていたのか張り詰めていた体が解れていった。

「ふぅ」

口からも疲れを出すために呟き、目も凝ってるなと思って瞼を閉じて両手で顔を覆うと、凝りが解れていく。

瞼を閉じたまま浮かぶのは宝条さんの姿で、四つ葉の時と違う服装で新鮮だったし、水瀬ならすぐ服装を褒めて言いそうだけど、俺も言えば良かったな。

今日のことがどんどん思い出され、人差し指でケチャップを拭われたのは驚いたけど、あの仕草は天然だったのか。

カメラ売り場ではデジカメを一生懸命に選んでいたし、自分のカメラに出会って欲しいし、“次も”という言葉にまた出掛けられる事に嬉しい自分もいて、擽ったい。

途中休憩で立ち寄った公園でホットミルクを飲んでいた時は温まったし、ライトアップされた赤い電波塔を見上げている宝条さんの横顔が綺麗で、今日は眼鏡をかけていてよかったし、本音は“抱きしめたい”って言えなくてこの前のように“充電”の言葉を使って宝条さんを抱きしめた。

高坂さんからの着信で邪魔されたけど、思わず誘いの言葉を被せるようにガチャ切りしてしまったな。でもあの雰囲気を邪魔すんなよと思ったのは事実で、ちょいちょいいい雰囲気が続かないな。

シェアハウスに着くまでは名残り惜しくて、ラジオ放送をやめて、2人の空間を大切にしたくて、宝条さんが俺の青いシャツの裾を握る手を俺も握りたくて、信号が切り替わるごとに手を包んだ。

やっぱ手が小さくて、痛くならないように手を重ね、シェアハウスに着くまでー…、ヤバいなのぼせそうになり、湯船から出てお風呂場に出てタオルで全身を拭いて下から順に着替え、空気の入れ替えをしたくてドアを開けて、後はTシャツだけはー…視界がグラッとする。

「ー…さん!…きさ…」

宝条さんの声が聞こえるけど、一気に暗くなって意識を飛ばした。
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