スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
食事を食べ終え、一美と宝条さんが食器を洗うと言うので、取り敢えずリビングで2人が帰るのを待って、その後は倒れたことを謝ろう。

「久しぶりに兄ちゃんの部屋に行っていい?」
「いいけど」
「一緒に行こうよ」

三斗に腕を掴まれリビングを出て、ずかずかと階段を上がる三斗の後に続いて俺も階段を上がって自分の部屋に入った。

「うわぁ、久しぶりに来たな」

三斗は部屋の椅子に座って、机の上にある“Scoperta”の雑誌を手に取ってパラパラと捲り、俺はベットに腰掛ける。

「あの子が姉ちゃんが言っていた新しい同居人?」

三斗は俺には顔を向けず、ページを読む。

「そう」
「姉ちゃんも何を考えて、このシェアハウスを紹介したんだろうな」
「さぁ。絶対に稔には言わないで欲しい。四つ葉の皆にも秘密にしてるから」
「確実に稔はからかうだろうな。しかもずっと」

稔の笑顔満載でイジリ倒す顔が浮かび、はぁと2人同時に溜め息が出た。

「せいぜいあの子を泣かせないようにしないと」
「分かってる」
「ならいいけど」

三斗は“Scoperta”の雑誌を閉じて、机の上にある一眼カメラを手に取って、電源を入れてボタンを操作する。

「仕事、キツい?全然店に来ないじゃん」
「キツいけど、今は踏ん張らないと」
「どうして?」
「スポーツ部を“守りたい”から」

三斗には休刊のことは伏せるけど、スポーツ部の皆を“守りたい”という気持ちは偽りないし、両手をギュッと握る。

「そっか」

一眼カメラを手にした三斗は椅子から立つと、水槽に泳いでる熱帯魚にカメラを向かせ、ファインダーを覗いてボタンを押し、顔を離して液晶画面を見る。

「おっ、可愛く撮れた」

差し出された一眼カメラを覗くと、熱帯魚達が体を寄せ合い、まるで南の島の海中を泳いでるみたいだ。

「上手く撮れてる」
「だろ?兄ちゃんに教えてもらったのかなり前だけど、鈍ってないな」
「宝条さんも自分のカメラを見つけたいって言ってたな」
「へぇ~。最初のカメラは思い入れが強くなるもんな」
「確かに」
「そういえば、兄ちゃんと仲が良い亮二さんも店でカメラをいじってたな」

三斗が一眼カメラの電源をオフにして、椅子に座って、カメラをそっと机の上に置いた。

「最近そっちに行ってないけど、亮二って店に来てんだ」
「この間、久しぶりに来てたよ。『面白い奴に会った』って。上機嫌でカメラをいじって酒を飲んでた」
「そっか」

そう呟くとなんか今までにない感情が胸に広がってきて、気持ち悪い。
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