スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
「そろそろ帰るよ」
「見送る」

2人で部屋を出て階段を降り始めると、リビングのドアの前で一美と宝条さんが抱き合っていた。

一美が俺たちに気づいて、宝条さんに気づかれないように無言でシッシッという仕草をするので、足音を立てずに引き返して階段を上がり、2人で部屋に入らずに廊下に座る。

「まだ落ち込んでいるのかな」
「そうだな」

どんな話を一美としていたか不明だけど、まだ張り詰めていた部分もあったのかもしれない。

「帰るわよー」

1階の所から一美の声が聞こえ、俺たちは静かに立ち上がって階段を降りると、宝条さんの顔色はいいけど、本心が分からないな。

「2人を外で見送るから、宝条さんはリビングで待ってて」
「はい。一美さん、三斗さん、本日は来て頂いてありがとうございました」
「ううん。また4人でここで食事をしましょうね」
「俺も美味しいご飯をいっぱい作るよ」
「今度お米を送るから、仁は3食ちゃんと食べなさい」
「分かったから、外に行くよ」

宝条さんがリビングに入ったのを確認し、3人で靴を履いて玄関を出て、ドアが閉まったと同時に一美が俺の後頭部を手で思いっきりバシンと叩いた。

「痛い」
「もう!女の子を泣かせないの!!」
「……この後、謝る」
「それならいいわ。凄くいい子だよね」
「俺も今日が初対面だけど、いい子だと思う」
「……知ってる」

3人でカーテンが閉まっているリビングの窓を見る。

三斗が実家の車の運転席のドアを開けて乗り込み、エンジンをかけ始め、一美も助手席のドアを開けて乗り込み、窓を下げた。

「最後の最後で倒れて台無ししたデートのお詫び、しっかりしなさいよ。やらなかったら左手でお見舞いするから」
「早く帰れ」

助手席の窓が閉まると、三斗が運転席で笑ってる顔が見えて、くそ…と思いながら2人が乗る車を見送ってシェアハウスに戻っていった。
< 110 / 223 >

この作品をシェア

pagetop