スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
荒木さんがリビングを出ていき、私も準備しなくちゃとバックを手に持って玄関で靴を履いて待つ。

『とびっきりのデザートを奢らせなきゃ駄目よ』

一美さんはそう言っていたけど、私の中でのとびっきりは“苺のミニパフェ”で、荒木さんからのお詫びとして何が良いか聞かれたし、『これ“が”良い』と答えた。

階段から足音が聞こえ、デニムにグレーのパーカー姿の荒木さんが降りてきて、髪型はいつものように前髪が目にかかっている状態で、あの眼鏡姿は運転する時の限定なんだ。

「お待たせ」

荒木さんも靴を履いて2人でシェアハウスを出てスーパーに向けて歩くけど、夜にシェアハウスから出て買い物に行くことはないから、新鮮に感じる。

いつものスーパーに着いてカゴを持ち、真っ直ぐにデザートコーナーに行き、“苺のミニパフェ”を手に取った。

やっぱりこの苺のシルエットとホイップの量が絶妙で、遂に食べられるんだとわくわくする。

「本当にミニパフェが良いの?」
「良いんです。荒木さんもデザートを食べますか?」
「これにする」

荒木さんが手に取ったのはプリンアラモードのデザートで、果物が数種類が入っていてちょっぴり豪華に見える。

「お会計をしてくるから、向こうで待ってて」

荒木さんがカゴを私から取ってすたすたとレジに向かったので、私はお会計エリアの出口で荒木さんを待ち、お会計を済ませた荒木さんが小さいレジ袋を片手にこちらに来た。

「終わった」
「ミニパフェを奢って頂いてありがとうございます」

2人でスーパーを出て、シェアハウスに向けて歩く。

「一美さん達とのお食事、とても楽しかったです」
「騒がしいの嫌じゃなかった?」
「食事中にも言いましたが、一人っ子だから一美さんのようにお姉ちゃんがいたらいいなって。三斗さんの料理は全部美味しかったです」
「俺も久しぶりに三斗の料理を食べた」

2人で並びながら歩く帰り道は、初めてタクシーで一緒に帰った時よりもグッと距離が近くて、荒木さんと歩きながら帰るのって良いな。

すると右手が握られて、顔を荒木さんに向けると荒木さんはずっと前を向いて歩く。

「デザート以外にもお詫びしたいから、リクエストを考えて」
「お詫びじゃなくて、またお出かけしましょ?次は電車で行きませんか?」

私も前を向きながら歩く。

「車がいい」
「え〜、またお風呂で倒れられたら心臓が持ちませんよ」
「電車だとゆっくり話せないし、ラジオ放送が聞けない」
「本当にスポーツが好きなんですね」
「……ミニパフェをスーパーに戻してくる」
「駄目です!ずーと食べたくて、ようやく食べれるんですから!」

焦ってたら、荒木さんがフッと笑う。

シェアハウスまでの帰り道がとても愛おしくて、これからも出来たら荒木さんとこうして一緒に帰りたいと強く願いながら握られた温もりを感じていた。
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