スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
side荒木仁
ドアノブに手をかけて外に出ようとする水瀬の右肩を思いっきり掴み、俺の方に顔を向けた水瀬に俺はそれ以上は外に出るなと訴えるように無言で顔を左右に振る。
2人でそっとドアを宝条さんに気づかれないような間隔に開け、様子を見ると、やっぱり直しが気になっていたのか紙束を読んでいた。
2つ目の紙束を捲って読む宝条さんの後ろ姿を見て、今はどんな風に俺の直しを読んでいるのだろう…、初心者であっても届けたい言葉を自分で書いて欲しいから、容赦なく赤ペンを走らせたもんな。
どんどんページを捲って、宝条さんがいきなりその場でしゃがみ込んだので、やっぱり書きすぎたか…、いや、ここで側に行くのは違うし、と葛藤したけど、直ぐ立ち上がってしっかりとした足取りで階段を上がっていったのでホッとする。
水瀬が静かにドアを閉め、俺の左肩を軽く小突いた。
「厳しすぎ。容赦なくやったね」
「水瀬は優しすぎだし、外に出ようとして焦った」
2人でスポーツ部の机に軽く腰掛ける。
「姫川なんて、『ズタボロになるガキなんて見たくもねぇ』って言ってたよね」
「言ってた」
「俺、遠くから見てたけど、ほんと細かく赤ペンを走らせているから、そんなにだったの?」
「届けたい言葉が誤字脱字が多いなんて言語道断」
俺が少し溜め息をつくと、水瀬は苦笑する。
「確かにそうだね。仁が編集長になった時さ、年上のスポーツ部の人達の原稿に容赦なく赤ペンを走らせてたの思い出した」
「訂正に年齢の上下は関係無い」
「たまに高坂専務が間に入って取り持ってたっけ」
「あの時期が1番グチグチ言ってくる人が多かった」
「でも仁はブレずに実力で返してたから、凄いよ」
「ありがと」
水瀬の人を褒めるところは、相変わらずむず痒い。
「俺は水瀬の曇りなく褒める所は嫌いじゃない」
「ありがと。そうだ、“お泊まり保育”の日程ってどうする?」
「それ、本気でやるの?」
高坂さんからのスマホのメッセージで、“俺たち4人で水瀬の家にお泊まり保育するからね”と、枕を持ったパンダのスタンプ付きで送ってきて、また勝手に俺も含んで4人って決めてるし、水瀬は誘いに慣れてるから気にならない様だ。
「姫川は?」
「乗り気で、弟さんが住んでいる場所の地酒を持っていくって。仁も体調不良で皆に心配かけたんだし、何か持ち寄ってよ。俺はつまみを用意するからさ」
「分かった。ただ今はかなり忙しくて、3か月後。これが条件」
今はノルマ3か月のクリアが先決だし、この条件でないと気持ちの余裕がない。
「良いよ。仁がいないと物足りないねってファミレスで話してたし、俺も自分の家でゆっくり仁と話してみたいんだ」
「そうだな。四つ葉かBarでしか話さないから、楽しみにする」
腕時計を確認すると、そろそろ宝条さんとの待ち合わせ時間に間に合うように出なくては遅れる。
「悪い、先に帰る」
「良いよ。またね」
「ああ」
荷物を纏め、編集部のドアを開けて階段を降り、スマホで佐藤に電話をかけて残業の時間を程々にと伝えて藍山駅へ向かって行った。
ドアノブに手をかけて外に出ようとする水瀬の右肩を思いっきり掴み、俺の方に顔を向けた水瀬に俺はそれ以上は外に出るなと訴えるように無言で顔を左右に振る。
2人でそっとドアを宝条さんに気づかれないような間隔に開け、様子を見ると、やっぱり直しが気になっていたのか紙束を読んでいた。
2つ目の紙束を捲って読む宝条さんの後ろ姿を見て、今はどんな風に俺の直しを読んでいるのだろう…、初心者であっても届けたい言葉を自分で書いて欲しいから、容赦なく赤ペンを走らせたもんな。
どんどんページを捲って、宝条さんがいきなりその場でしゃがみ込んだので、やっぱり書きすぎたか…、いや、ここで側に行くのは違うし、と葛藤したけど、直ぐ立ち上がってしっかりとした足取りで階段を上がっていったのでホッとする。
水瀬が静かにドアを閉め、俺の左肩を軽く小突いた。
「厳しすぎ。容赦なくやったね」
「水瀬は優しすぎだし、外に出ようとして焦った」
2人でスポーツ部の机に軽く腰掛ける。
「姫川なんて、『ズタボロになるガキなんて見たくもねぇ』って言ってたよね」
「言ってた」
「俺、遠くから見てたけど、ほんと細かく赤ペンを走らせているから、そんなにだったの?」
「届けたい言葉が誤字脱字が多いなんて言語道断」
俺が少し溜め息をつくと、水瀬は苦笑する。
「確かにそうだね。仁が編集長になった時さ、年上のスポーツ部の人達の原稿に容赦なく赤ペンを走らせてたの思い出した」
「訂正に年齢の上下は関係無い」
「たまに高坂専務が間に入って取り持ってたっけ」
「あの時期が1番グチグチ言ってくる人が多かった」
「でも仁はブレずに実力で返してたから、凄いよ」
「ありがと」
水瀬の人を褒めるところは、相変わらずむず痒い。
「俺は水瀬の曇りなく褒める所は嫌いじゃない」
「ありがと。そうだ、“お泊まり保育”の日程ってどうする?」
「それ、本気でやるの?」
高坂さんからのスマホのメッセージで、“俺たち4人で水瀬の家にお泊まり保育するからね”と、枕を持ったパンダのスタンプ付きで送ってきて、また勝手に俺も含んで4人って決めてるし、水瀬は誘いに慣れてるから気にならない様だ。
「姫川は?」
「乗り気で、弟さんが住んでいる場所の地酒を持っていくって。仁も体調不良で皆に心配かけたんだし、何か持ち寄ってよ。俺はつまみを用意するからさ」
「分かった。ただ今はかなり忙しくて、3か月後。これが条件」
今はノルマ3か月のクリアが先決だし、この条件でないと気持ちの余裕がない。
「良いよ。仁がいないと物足りないねってファミレスで話してたし、俺も自分の家でゆっくり仁と話してみたいんだ」
「そうだな。四つ葉かBarでしか話さないから、楽しみにする」
腕時計を確認すると、そろそろ宝条さんとの待ち合わせ時間に間に合うように出なくては遅れる。
「悪い、先に帰る」
「良いよ。またね」
「ああ」
荷物を纏め、編集部のドアを開けて階段を降り、スマホで佐藤に電話をかけて残業の時間を程々にと伝えて藍山駅へ向かって行った。