スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
◇“口の悪い男性”の正体
抜き打ちチェックを終えてから1週間が経ち、今日も山田先輩と写真を選んでいき、荒木さんは体調不良で休んでいる田所副編集長の代打でサッカー場に行き、撮影をするため不在だ。

「この原稿だと候補が3つあって、これかな」

お互いのノートパソコンで共有フォルダから写真を液晶画面に表示させ、原稿を手元に置いて一緒に読みながら写真を選ぶ。

「私はこの写真が原稿に近い表現だと思いますが、山田先輩はどの写真に惹かれました?」
「俺は3つ目かな?4段落目に書かれてる得点を決めるまでの過程を表しているから」

言われてみると確かに山田先輩が選んだ写真と、4段落目の文章とマッチしていて、流石長年写真を管理しているから選ぶ目が長けている。

「次は私が選ばれるようにします」
「どんどん写真と原稿に触れて行こうね」
「はい」

お互い笑って原稿と写真を見続けると中畑さんのスマホがなり、中畑さんが画面をタップして耳に当てる。

「お疲れ様です、中畑です。はい…、今は山田と写真の選定をしてます」

中畑さんがちらちらと私を見るので、電話の主の想像がつく。

「分かりました。本人に伝えます。それと荒木編集長に清書のチェックをお願いしたいので、宝条さんに持たせます。一旦失礼します」

中畑さんが電話を終え、私に顔を向ける。

「荒木編集長が現場に来て欲しいみたいで、場所と交通費の申請の仕方を教えるね。あと清書の確認を幾つかしてもらいたいから、大きい封筒に入れて渡すね」
「かしこまりました」
「俺も荒木編集長に読んで貰いたい下書きがあるから、お願いしても良いかな?まだノートパソコンで仕上げないといけない部分もあって、会議室から出れないんだ」
「俺も良い?」

次々と先輩達が私に紙束を渡してきて、両手にいっぱいになり、これ荒木さんは1人で読んでチェックをしているんだよね。

一旦ノートパソコンを閉じて、バックの開閉口を開き、大きい封筒に受け取った原稿を入れ、バックにしまう。

「交通費の申請だけど、定期は使えないから、藍山駅から目的地の往復を買って、必ず領収書のボタンを押してね。領収書は日付と自分の氏名を記入して経理課に提出だよ。目的地の住所と受付場所はこれで、スマホで調べれば大丈夫。現場が終わったら、1度四つ葉に電話してね。いってらっしゃい」
「はい、気を付けて行ってきます」

準備を終えて四つ葉を出て、藍山駅に向かい、改札の券売機で目的地の競技場の最寄り駅の券を往復で購入し、忘れないように領収書も発行し、いざ荒木さんが待つ現場へと向かって行った。
< 129 / 217 >

この作品をシェア

pagetop