スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
ゆっくりと瞼を開けると、自分の部屋じゃない天井が見え、これ、前にもあったよね。

テレビの音声が聞こえたからそっちに顔を向けると上下グレーのスウェット姿の荒木さんの大きな背中と鉛筆が走る音が聞こえ、それを見てとても安心した。

私って意識を飛ばす前は小さいソファに座っていたような気がしたけど、どうなんだっけ?寝起きでぼぅっとしてるし、う〜ん、いつの間にか掛け布団を掛けられて大きなソファに横たわっているし、ゆっくりと起き上がったら荒木さんが振り返った。

「起きた?」
「はい…、掛け布団をありがとうございます」
「別に」

荒木さんは顔をテレビに戻して、再び鉛筆でノート書きを進め、私は邪魔をしないようにまた横になってテレビに顔を向け、放送内容を聞き入る。

『本日はバトミントンの国内試合の模様をお伝えしました。次の試合も是非勝利することを応援しています。それではまた明日』

同時にテレビの画面が暗くなり、荒木さんは一眼カメラとシルバーのデジカメを交互に手に取って液晶画面を操作し、写真を見ながらノート書きを進めている。

私も宿題の続きをしなきゃ、もう一度起き上がって掛け布団を整頓しようとごそごそしていたら、また荒木さんが振り返って鉛筆を置いた。

「寝ていても良いのに」
「でも宿題が…」

少しだけ寝てから宿題をやろうと思っていたらいつの間にか寝ちゃって、起きてみればいつも荒木さんがリビングでテレビの番組を見ながらノート書きをする時間帯になっていたから数時間は寝ていたことになるし。

今日のことだってまとめきれてないと焦りがあって悶々と思っていたら、荒木さんが溜め息を吐いたので体がビックとする。

荒木さんは立ち上がって右手で掛け布団をバサっと大きなソファの下に落とし、私の隣に座って顔を向けた。

「宿題、一旦忘れて」
「え?でも…」
「でもでもじゃない」

荒木さんが大きな左手を私の右頬に添え、親指で私の右目の下瞼をそっとなぞるけど、あぁ、夢の中で感じた温かい感触と一緒だ。

「宝条さんは、今、どうしたい?」
「私は…」

今、私がどうしたいか…、この不安定な気持ちを落ち着かせるには、この温かさをもっと感じたいからー…。

「“充電”、したいです」
「おいで」

荒木さんが大きな左手を離して両腕を広げたので私から荒木さんに抱きつき、私は胸元に顔を埋め、荒木さんはそっと私を抱きしめた。
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