スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
「2つ目の宿題の途中ですが、自分なりに調べた物があり、荒木編集長からの視点も知りたいので読んで下さい」
「分かった」

差し出された紙束を受け取ると本人は自分の席に戻り、清書の続きを始め、俺は他の原稿を順番に読み始め、赤ペンを入れたり、資料に目を通し、そして宝条さんの紙束を手に取り、黙読を始める。

少しづつ漢字の間違いは初めての時と減少していて、送り仮名や句読点のつけ方も改善をしているな、宝条さんなりにどうやって読者にスポーツの魅力を伝えたいかを書かれてあり、気になった点には赤ペンで幾つか問いかけてみた。

3枚目を捲り、順調に黙読していると、3枚目の用紙の1番下にシャープペンでとても小さな文字が書かれていることに気づき、そこの言葉を読んで俺は顔を上げて宝条さんに向けると、本人はずっと清書の原稿とノートパソコンを交互に見ている。

やられたな、俺が宝条さんの宿題をチェックした後に伝えたい方法を向こうもしてくるとは。

俺は黒のボールペンで返事を書き、紙束を俺に渡してきたメンバーを順番に呼び、そして宝条さんにも紙束を渡していたら、会議室のドアが開いて高坂さんが俺を手招いたので、席を立ってドアの方へ行きながらちらっと宝条さんの様子を見た。

順当に紙束を捲ってるなと思いながら、高坂さんの側に立つ。

「何か用?」
「今日の夜、久しぶりに飲まない?」
「………“先約”があるから無理」
「え?ちょっ…じー」

俺は高坂さんを専務室に戻るように背中を押して、会議室のドアを閉めて自分の席に座った。

「今日は8時迄俺がここに残るから、帰る時間はそれぞれ任せる」
「はい」

皆が返事をし、宝条さんはほんの少し顔が赤いまま液晶画面を見ていて、宝条さんの文字を思い返す。

“荒木さんに話したい事があるので、シェアハウスで待っています”

こんなことを書かれたら、高坂さんの飲みを断るに決まってるだろと思いながら仕事を再開した。
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