スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
「えっと…その…」
「ゆっくりでいい」
「【もりや】でお昼を奢って頂いてありがとうございました!」
「……ん?」

宝条さんがバッと深く頭を下げ、ん?今【もりや】って言ったか?と頭に?マークが浮かび、宝条さんが頭を上げると不思議そうに俺を見る。

「あの?荒木さん?」
「いや…話があるからシェアハウスで待ってるって紙に書いてあったけど」

俺が宝条さんが紙に書いた伝言を言うと、本人はあぁと表情になった。

「文字で書くよりお礼をちゃんと伝えたくて、でも先輩達の前で荒木さんからお昼を奢って頂いたなんて言えないじゃないですか?それに星野さんも九条さんも嬉しそうにー…、え?ど、どうしました?」
「そっちか…」

俺は一体何を早とちりして誤解してんだよ…と宝条さんの話の途中で自分の思考回路に恥ずかしくなり、右手で顔の赤ら味を隠すように覆ってがっくりするー…ってがっくりってなんだ?でも、思っていた以上に期待していた部分があるのは事実だな。

まぁ期待したのは自分勝手だけど、お礼を言いたいのなら『お昼のことで話がある』って、伝えたいことをきちんと書くように赤ペンの指導はまだまだ続くな。

「何でもないし、奢ったのは俺がそうしたいからしただけ」

ボソッと言い、右手を離して小さく溜め息をする。

「デザートコーナーで苺のミニパフェを買ってきたから、食べる?」
「食べたいです。ありがとうございます!」

やったぁと嬉しそうに微笑む宝条さんに俺もフッと笑い、“この気持ち”は宝条さんから言わせるのではなくて俺から伝えると決め、今はいつもの2人の時間を大切にしよう。

「頂きます」

2人でデザートを食べ始め、俺はモンブランの味を楽しむと宝条さんのバックから着信音が聞こえ、宝条さんはバックからスマホを取り出して画面をタップして指で操作すると直ぐバックにしまった。

「電話だったら出てもいいけど」
「いいえ、星野さん達からのメッセージで、直ぐに返したので大丈夫です」
「そう言えば星野さん達と【もりや】に来たのはどうして?」
「実はー…で【もりや】に行くことになって、荒木さん達が先に四つ葉に戻られた後に星野さんと高坂専務がー…という流れで、“四つ葉の三姉妹”というメッセージグループが出来たんです」

高坂さんらしい名付けだし、その時の光景が浮かぶ。

「星野さんと九条さんが『姉妹が欲しかったから、嬉しい』って。私も同じように嬉しくて、今度カフェ巡りや、星野さんがお泊まり保育を夏頃に熱望しているので凄く楽しみです」

楽しそうに話す宝条さんにどうやら自分の居場所を少しづつ見つけられて良かったけど、少し妬けるし、お泊まり保育の発言はきっと星野さんの恋人からの影響だなと思いながらモンブランを食べる。

宝条さんはにこにこしながら一匙掬ってミニパフェを食べてるけど、わざとなのか天然なのか、今度は唇の右端にホイップクリームがついてることに目がいった。

「ついてる」
「何処でー…」

今まで何か付いていたら俺の指で拭うけど、俺はスプーンを置いて宝条さんの後頭部に左手を添えて自分の方に引き寄せて、右手で宝条さんの顎をクイッと上に上げた。

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