スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
side荒木仁

藍山駅についてタクシーを呼び、車窓か見える景色を眺めながら亮二との話し合いを思い出す。

亮二も四つ葉の会議室に来たら宝条さんを巻き込むかのように絡むし、話し合いもピリッとしたから頭を冷やそうと2人で廊下に出た。

「少しは冷静になって」
「あの写真は2度と撮れないし、お前もそう思うだろ」
「思う。あの表情と腕の筋肉までをブレもなく撮れるのは、亮二じゃないと無理」
「“これ”を仕事にしてんだ、だから話し合いは妥協はしねぇし、これからもだ」
「ああ、分かってる。だから亮二のカメラは必要だし、部下の皆にも亮二のカメラの世界を見せて欲しい」
「ふん。悪いがひよっこにも言うのは手加減しねぇし、お前にもだ」
「知ってる。使う写真は決めた?」
「1枚目。7枚目は俺のコレクションにする」

亮二の表情もいい方向になっていたし、話し合いもすんなりといったから安心して宝条さんと階段で分かれて2階の編集部に行き、水瀬はいなくて姫川が窓際のコピー機で原稿のコピーをしていたから、俺も自分の原稿をコピーをしたくて側に行く。

「お疲れ」
「ああ。お前も使う?」
「うん」

姫川がコピー機から印刷された用紙の束を手に取って順番を確認していて、俺もバックから原稿を取り出して必要な枚数を指定して印刷をかける。

「荒木」
「どうした?」

姫川が顎を使って外を見ろとしてきたので俺も下を見下ろしたら、亮二が宝条さんの腕を掴んでいた。

心臓がドクンー…と鳴って、徐々に黒い感情が広がって行き、バックを手に取って急いで編集部を出て階段を駆け下りて宝条さんの元に行くと、俺よりも先に高坂さんが間に入っていて、宝条さんに怪我が無くて安心する。

そう思い返していても宝条さんの表情はずっと暗くて、少しでも和らげるために手を包んで外の景色を眺めながら、想いを伝えるのはこの日だと決めた。

「好きだ。俺だけを見て」

本当はノルマ3ヶ月をクリアした後に伝えようとしたけれど、四つ葉の会議室で宝条さんが亮二の名前を聞いて表情を曇らせて下唇をギュッとしていたり、在庫室でも亮二の事が怖いと言っていたし、宝条さんの心体に亮二が染み込んでいるのが悔しくて嫉妬している自分がいて、亮二よりも俺のことだけを見ていて欲しくて、想いを伝えた。

何度も口づけを交わし、リビングの空気は熱を帯びている。

俺の熱に必死に応えてくる宝条さんが愛おしくて、更に想いが増してキスを深めていくけど、一線を越えるには流石に早いし、男としてちゃんとしたいからグッとこらえ、名残り惜しいけど唇を離して自分の体を起こして熱の籠った息を吐いた。

宝条さんの顔が苺のように真っ赤で、ほんと可愛いなと思い、俺は宝条さんの右手を左手で掴んで、手の甲にキスをする。

「まだ一線は越えないけど、その時は覚悟して」
「ー!ー」

ますます赤くなる宝条さんの頬にキスをして、宝条さんの体を起こして、右手を宝条さんの頭の上にポンと置く。

「ホットミルクを飲む?」
「飲み…ま……す」

2人でキッチンに行き、ホットミルクを作ってマグカップに注ぎ、大きいソファに隣同士に座ってゆっくりと飲む。

「亮二の話しをしてもいい?」
「はい」
「亮二に最初に出会ったのは5年前でー…」

そこから俺と亮二の出会いをゆっくりと話し始めた。
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