スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
取材先の最寄り駅に到着し、受付場所に行くと列が出来ていて、順番を待ちながら並んだ。

ようやく俺達の番になって通行パスを首にかけてグラウンド内に入り、撮影スペースへ入る。

田所と撮影したい構図を話し、一眼カメラを取り出しながらサッカーチームが来るのを待つと、俺の左隣の空席に1人の男がドカっと座り、黒い服からは煙草の匂いがして、煙草をよく吸う姫川みたいだな。

そいつが持っているカメラ用の持ち運びバックから取り出されたのは、俺が持つ一眼の色違いの漆黒のカメラだった。

手慣れた手つきでレンズや液晶画面の操作をして、ファインダーを覗いて試し撮りをしていて、顔を離すと俺の方に顔を向ける。

「何か用?」
「色違いだなと思っただけ」
「あぁ、俺もその色が気になったが漆黒の方が俺らしいから選んだ」
「おい三輪、今日も良いの頼む。得点王を狙っている選手の顔はマストだからな」

男は三輪というのか、三輪に話しかけた男性は四つ葉の経理課のおっさんに雰囲気が似てるなと、若干イラッとする。

「顔だけ欲しいなら、てめえのカメラで撮れば」
「いい加減その口の喋り方を気をつけろ」
「俺は“自分の目”で撮るから、気が向いたら撮る」

この三輪って男、口調も姫川に近いけど言ってることは嫌いじゃない。

三輪に話しかけた男性は舌打ちして何処かに行き、三輪は普通の顔をして液晶画面を操作している。

「俺も“自分の目”で撮るから、あの男の話し方はイラッとする」

俺はそう言うとファインダーを覗いてグラウンド内にやってきた選手や、その選手を見つめるファンを一緒の撮影枠に入るようにカメラを向けてボタンを押すと、三輪は笑い出す。

「お前、面白え奴だな。俺は三輪亮二だ」
「荒木仁」

それが、俺と亮二の出会いだった。
< 184 / 217 >

この作品をシェア

pagetop