スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
電車が静かに動きだし、私達はドア付近に立って外の景色を眺めるけど、仕事とはいえ新鮮に感じるなぁ。

ある駅に着いたら反対側のドアが開き、続々と人が入ってきて何処かの大きい駅だったのかな?いつの間にか車両が人でいっぱいになり、満員電車並みだ。

電車がカーブで揺れると人が押し寄せてきそうで体がビクッとしていたら、荒木さんが私を守るように前に立つけど、距離がとても近くて心臓がバクバクと鳴る。

荒木さんが私の頭上に手を置いて、顔を私の左耳に近づけるけど、ち、近い。

「もう少しで藍山駅に着くから我慢」
「……」

耳元で囁かれ、もう恥ずかしさから返事が出来なくて、無言で何度も頷くとクスッと笑う声が聞こえ、悔しくて、反撃をしたくて、右手で荒木さんの無防備になっているお腹辺りを軽く小突くと、荒木さんが体をビクッとさせた。

荒木さんは両手を私の頭上に置いてるし、周りに人もいるから反撃が出来ないはzー…小さなリップ音と左耳に荒木さんの唇が触れ、私の顔が一気に火照ると同時に私達側のドアが開く。

『藍山駅〜藍山駅〜』

荒木さんは両手を降ろして先に降り、私も降りて両手で顔を仰ぎながら荒木さんの隣に並んで歩く。

「信じられません!電車の中ですよ?」
「そっちから手を出してきた」
「違います!荒木さんが私の耳元で囁いたのが先です!」
「あれはもうすぐ着くから我慢してって言っただけ」
「それはそうですけど!」
「じゃあ、“こっち”を期待していて応えれば良かった?」

荒木さんが大きな右手をそっと私の左頬に添えて、親指で私の唇をなぞるから、また顔が火照る。

「も、も、もぅ!高坂専務に話してセクハラで訴えますから!」
「それは駄目」
「ぜーったいに言います!」

そこからは四つ葉の入り口までくだらないことで言い合い、入り口から出てきた姫川編集長に『お前らうるせぇぞ!』と2人で怒られたのだった。

「荒木編集長のせいです!」
「俺は悪くない」

荒木さんがプイッと顔を左に向けるので、少しムカッとしてきた。

「ぜーったい荒木編集長ですってば!」
「違う」
「いい加減にしろ!新人のガキも、そのガキに対抗する荒木も年上のくせに大人げねぇぞ!!!」
「ー!ー」

姫川編集長に思いっきり雷を落とされ、2人で体がビクッとなり、姫川編集長ってお父さんよりも恐い…。

姫川編集長は思いっきり溜め息を吐くと右手で荒木さんの右肩にポンと置き、グッと肩を掴む。

「とにかくうるせぇし、終だ」
「……分かった。宝条さんは先に会議室に戻って、皆に残業は8時迄と伝えてほしい」
「分かりました、お先に失礼します」

私は先に会議室へ戻っていった。
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