スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~

※編集長3人組の恋バナ時間?!side姫川

side姫川

四つ葉に出社し、編集部に入って自分の席に向かうと、九条が既にいてパソコンの液晶画面をじぃっと見ながら栄養ゼリーの中身を飲んでいる。

俺はドサッと荷持を机の上に置いて、中身から続々と紙束と一眼カメラを取り出して、昨日の街歩きの下見で目に止まった地域と店のメモを手本に、自分のパソコンに情報を記録した。

「姫川編集長、昨日スマホに連絡したお店の資料とお持ち帰りにしたクッキーです」
「おう」

九条から3枚綴りの紙束と紙袋を受け取り、先に紙束に書かれている内容を黙読する。

確かに資料と言えば資料だが、感想文ぽい癖の書き方はそろそろ直せよと紙袋に手を伸ばして中身を覗いたら、クッキー3枚が個別包装で入っていた。

「アイツにも渡したのか?」
「はい。ヒデ子ばあちゃんもとても喜んでいて、『芋羊羹を贈るから、一緒に食べてね』と電話で話しをしてくれました」

ヒデ子ばあちゃんも元気そうで良かったし、九条がアイツと上手くいってそうだし、安堵する。

仕事をこなしてパソコンの時刻をちらっと見ると時刻は夜8時33分頃で、2階の編集部は俺と九条と水瀬だけで、九条を先に返すか。

「明日は本格的に歩くから、先に上がれ」
「はい。お先に失礼します」

九条は先に編集部を出て行き、俺は九条から受け取った紙袋を手に取って、中から1枚のクッキーを取り出し、袋を開封して一気に半分を口に含む。

口の中には小麦とバターと少しだけ甘みがあり、くどくなくてちょうど良く、口を何度も動かして、缶珈琲で口の中を潤してゴクッと飲んだ。

「あれ?姫川が甘い物を食べるのって珍しいね」
「九条から貰った」

少し離れた席に座る水瀬が俺の方へ顔を向けて、不思議がってるが、いいだろ、別にと残りの半分をまた一気に頬張ると、編集部のドアが開いて荒木が入ってきた。

本人はすたすたと歩いて自分の席に来て座り、バックからどんどん紙束を出して、一束ずつ黙読を始める。

「ねぇ、仁って何か良いことあった?」
「どうして?」

水瀬が荒木の様子を見て本人に尋ねて、荒木は原稿を手にしながら水瀬に顔を向ける。

「ん〜、なんか雰囲気的にそう感じたんだよね」
「………………別に。いつもと同じだけど」
「今の間は何だよ」

俺が荒木の返答にかなりの間を要したことに突っ込むと、今度は荒木が俺の方に顔を向ける。

「クッキーの欠片、資料に落ちてる」
「うぉ、良く見てんな」
「家で食べなよ」

俺はクッキーの欠片をかき集めてゴミ箱に捨てると、水瀬がちょっと複雑な顔をしている。
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