スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
食堂で炒飯を食べ、私の向かいに座る荒木さんも黙々とパスタを食べている。

お水を飲み、この後四つ葉に戻ったら佐藤さんの清書の続きだ。

「そろそろ6月号の原稿を揃え始めないといけないから残業は11時までにするけど、宝条さんと女性社員は9時か9時30分まで会議室にいても良い」
「もっと会議室にいては駄目なんですか?」

もう少し残って進行を進めたいし、荒木さんといたいのにな。

「夜道が危ないし…、シェアハウスで宝条さんからおかえりなさいって言われたいから、先に待っていて欲しい」

ああ、こんな外で言うなんて反則というか、絶対自分の顔がニヤけているのが分かるもん。

「温かいスープを作って待ってます」
「楽しみにしてる。6月号が無事全部そろったら、少しスケジュールが余裕になるし、また2人で出かけよう」
「良いんですか?」
「ああ。リフレッシュは必要だし、買いたい物はある?」
「さっき見学エリアにいた時に野球のルールブックを買いたいなって。それと…秘書の橘さんから預かっているものがあります」

荒木さんとのお出かけは楽しみだし、買いたい物を相談が出来たのは良いけど、その流れで橘さんから預かった本を思い出して、バックから本を取り出して、荒木さんに差し出す。

「こっちに来る前に四つ葉で橘さんから『この本を荒木編集長に貸したいです』と、伝言と一緒に預かりました」
「………そう。一旦預かる」
「はい」

荒木さんは本を受け取ると私物のバックにしまい、またパスタを食べ始め、私も炒飯を食べるけど、『どうして橘さんに会ったことを話さなかったんですか?』や『手が重なったのはどうしてですか?』と聞きたくても聞けなくて、心の中が悶々とする。

「四つ葉に戻ろう」
「はい」

食器を返却口に戻し、食堂を出て受付場所へ行き、通行パスを返却をして最寄り駅の改札を入り、私は四つ葉に電話をかけて中畑さんに戻ることを伝え、荒木さんは離れた場所でスマホの通話をしている。

お互い通話を終えてホームに入線した電車に乗り、藍山駅迄の移動が始まり、お互いドア付近に立って外の景色を観るけど、何となく空気が重くて話しづらい。

「……」
「……」

藍山駅に着いて四つ葉に向かって歩くときも距離があって、少し胸がチクッとし、四つ葉の入り口付近になると荒木さんが私の方に顔を向ける。

「高坂さんに今日の話を報告してくるから、先に会議室に行って」
「分かりました」

私が先に階段を駆け上がって会議室に行き、中に入ると佐藤さんが私の所に来た。

「取材から戻りました」
「おかえりなさい。戻ってきて早速で悪いけれど、2枚程、俺の原稿の内容を変えたいから一緒に作業をしよう」
「分かりました」

私は自分の荷物を置いて、佐藤さんと一緒に新しく原稿を取り組んだ。
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