スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
side荒木仁

「お前、一旦廊下を出て頭を冷やせ」

高坂さんの言葉で頭に血が上りそうな所がストップされ、俺は一旦会議室を出ていき、廊下よりも編集部に行って自分の席で落ちつこうと思い、階段を降りて2階にいき、廊下を歩いてたら水瀬に会った。

「朝早くなんて珍しいね」
「まぁ…、そっちは会議?」
「ううん。この間の立食パーティーで主催者側から連絡あってさ、話しを聞きに行く」

水瀬はじゃあと手を振って階段を降りて、俺はICカードを使って鍵を解除して、すたすたと歩いて自分の席に行って椅子にドカっと座った。

引き出しから自分の原稿を取り出して読んで心を落ち着かせるけれど、どうしても高坂さんの言い分にイラッとする。

『現実を見ろ』、『疑惑のまま載せた記事って読みたいと思う?』と高坂さんの言葉が何度も浮かんで、原稿に添えている手の力がグッと強くなり、紙がぐしゃっと皺が寄った。

「おい、荒木」
「何?」
「不機嫌になるのは勝手だが、空気悪りぃから出てけ」

俺の近くに座る姫川が苛ついて言ってくるけど、そっちもだろ。

「姫川だってそうだけど」
「一緒にすんな。大体苛ついてそのー…」

姫川が続けて言いそうな時に編集部のドアが開いて顔をそっちに向けると、自宅待機な筈の佐藤が入ってきて、自分の席に向けて歩いてくるが、ドクンー…と嫌な予感がする。

佐藤は無表情で自分の席の机の下にある引き出しを全部開けて、原稿の紙束を取り出すのをみて、まさかー…

「さt…」
「………」

声を掛けようとした瞬間、佐藤は次々と両手で原稿をビリビリに破り初めて床に散らばせ、編集部に居るファッション部の皆さえ、佐藤の行動に目を見開いていて絶句している。

ビリ…、ビリとまだ破く音が編集部に響き、流石にこれ以上は周りにも悪影響だし、大事な原稿を手に掛けるのはと思って席を立ち、原稿を手に掛けている佐藤の側にいき、右手をグッと掴んだ。

「もう、止めな」
「どうせこの原稿は誰にも読まれることは無いんで」

佐藤は俺の右手を払うように動かして、また破くと床にばらまいて、はぁはぁと息を整え、デニムの後ろポケットに手を伸ばして、そこから一通の手紙を俺に差し出した。

そこは【退職願】と書かれていて、俺は受け取ると佐藤は頭を下げて編集部を出ていき、ドアがしまった音で俺はハッとする。

先ずはこの編集部の雰囲気をどうにかしないと思い、ファッション部の副編に顔を向けた。

「副編には悪いけど、水瀬には俺から話すから黙って。ファッション部の皆も自分の仕事を進めて」
「分かりました…、皆、仕事に戻ろう」
「は、はい…」

ファッション部の副編に仕事を続けるように頼み、今度はタウン情報部だ。

「九条さんは会議室にいる高坂さんにこの事を伝えて。姫川はこの散らばった原稿は拾わないで」
「分かりました、高坂専務の所に行きます」

九条さんは足早に編集部を出ていき、俺は手紙を黒パンツの後ろポケットにしまう。

「俺は拾う気なんてねぇぞ」
「知ってる。俺は外に行くから、もしスポーツ部の誰かが来たら様子を教えて」
「分かったから、さっさと佐藤を追いかけろ」
「ああ」

俺は編集部を出ていき、佐藤を追いかけようと四つ葉を出ていった。
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