スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
「お願いします!」
「かしこまりました。急いで青木印刷所に向かいます」

バイク便が走り出し出すのを見送り、私は腕をう〜んと上に伸ばして、気持ちをリセットさせる。

間に合って良かった…、製作班の皆で大急ぎで清書やレイアウトを仕上げて、荒木さんと高坂専務のチェックを経て封筒に水野先輩と佐藤さんの原稿を入れて、私がバイク便の手配をして渡したのだった。

すると入り口から佐藤さんと田所副編集長と水野先輩が出てきたので、駆け寄る。

「何処かに行くんですか?」
「佐藤さんが皆にご飯を買うって言うから、俺は飲み物を持つ為に同行する」
「私も一緒に行きます!分担すれば軽いですよ」
「じゃあそうして貰おうかな。佐藤さんも良いですよね」
「うん、ありがとう」
「凄く高い飲み物を選んで良いよ、佐藤の奢りだし」
「4日も休んだし、財布が寂しくなるな」

4人でわいわいと話しながら佐藤さんに連れられて、一軒のお店に来た。

「ここ、田所と良く利用するお店で持ち帰り弁当も美味しいんだ」

お店のショーケースには色とりどりの具材が入ったお弁当が数種類あって、どれも美味しそうだから目がキラキラになる。

私は水野先輩とカゴを持って人数分の飲み物のペットボトルを入れて、先にお会計をさせてもらい、佐藤さんは田所副編集長とお弁当を選び、手に取った。

「高坂専務と荒木編集長はこの幕の内にして、皆はこのバランスが良い弁当にする?」
「俺、ピーマンが苦手だからこっちが良い」
「田所って小学生の苦手な食材、全然食べないよな」
「そう言えば荒木編集長も人jー…」

あ、やばい!

「人参?」
「人参は栄養があって良いし、ピーマンも平気だって、鷲尾さんの取材の後に食堂でご飯を食べながら話してたんですよ〜」
「だったらこの幕の内に入っている人参とピーマンの和え物は良いよね。うん、買おうっと」

佐藤さんは幕の内を2人分をカゴに入れ、あ、危ない…危ない、佐藤さんの話の流れで荒木さんが人参が苦手って誰にも話していないことを言いそうになった。

お会計を済ませて4人で四つ葉に戻り、会議室に入って佐藤さんが買ったお弁当と飲み物を机の上に置き、幕の内を荒木さんに差し出す。

「本当にご迷惑をおかけしました」
「別に迷惑だって思ってない」
「素直にありがとうって言いな」
「……ありがとう」

高坂専務が荒木さんに言い直すようにいうと、荒木さんは短くお礼を言い、幕の内を受け取った。

「頂きます!」
「うわ~美味しそう」
「うん、美味しい!!」

皆で手を合わせて佐藤さんが買ってくれたお弁当を食べ始め、私は普段自分で作るからこうした自分以外の作った料理が身にしみる。

茹でられた野菜とドレッシングが美味しくて、うんうんと頷きながら口を動かしてると、高坂専務がちらっと荒木さんのお弁当を見た。

「この人参とピーマンの和え物も美味いから、食べなよ」
「食べるから、少し自分のペースを守らせて」
「へいへい」
「さっき宝条さんから鷲尾さんの取材の時に食堂で荒木編集長が人参は栄養あって良いと聞いたんで、是非召し上がって下さい」
「……………分かった」

あ、あぁ…佐藤さん、私の話を信じて荒木さんに話すし、当の本人は間をかなり開けて答えて、絶対怒ってるはず!!

私は荒木さんを見ないように顔を違う方に向けて、静かにペットボトルを飲んだ。
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