スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
side荒木仁

佐藤から【退職願】を受け取った翌日、会議室に来ても本人の姿はなく、B班の高橋が手探りしながら班を纏めているけど、高坂さんが言うように苦戦してるな。

田所の様子もブスッとしたり思い詰めたりと表情を変えながらノートパソコンのキーボードを打つけど、佐藤の事を気にしてる筈だ。

「すいません荒木編集長、話があるので廊下に良いですか?」
「良いよ」

水野に声を掛けられ2人で廊下に出て隅に行くと、水野の表情がキリッと変わる。

「青木印刷所に出す迄の後3日、新しく原稿を書くので荒木編集長に挑ませて下さい」

バッと俺に頭を下げる水野を見て、この挑戦を受けたのは初めてだけど、いつの間にか水野がこんなにも自分を出すようになったんだと、成長した部分が見れて嬉しい。

「分かった。敢えて題材は聞かないでおくから、3日後に読ませて」
「ありがとうございます」
「俺も水野は佐藤の代理だとは1ミリも思ってないから、その挑戦、受ける」

水野が言った言葉を引用して、挑戦を受けようと伝えた。

「はい!荒木編集長の原稿も楽しみにしていますので、宜しくお願いします」

水野は嬉しそうに会議室に戻っていき、俺はふぅと一息つく。

俺が編集長になってからは反発してくる奴には原稿を作ることで対応してきたけど、俺自身に原稿で挑んてくる人物が自分の部下から出てくるとは思わなくて、擽ったい。

仕事を終えてシェアハウスに帰ると宝条さんの靴があり、リビングに行くと姿は無くて、部屋にいるのか…、自分で原稿に集中したいから朝に過ごすことを言ったけど、寂しさはある。

夕飯を食べて歯を磨き、シャワーを浴びて着替えて自分の部屋で原稿用紙を広げて鉛筆を持ち、1マス1マス文字を書き続け、気づけば深夜の2時になりそうで、宝条さんとの時間を多くしたいから今日はこれまでと決めた。
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