スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
「後1時間しましたら消灯なので、今のうちにお着替えをどうぞ」
「ありがとうございます。あの、救急車を呼んでいただいた女性の方はまだ病院にまだいますか?」
「まだ面会エリアにいると思うので、確認してみますね」

看護師さんが出て行き、暫くすると一美さんと三斗さんが部屋に入ってきた。

「良かったぁ~、目を覚まして安心したわ」
「気分はどう?」
「大丈夫です。あの、沢山色んな事をして頂いてありがとうございます」
「ううん。仁がね、お風呂場で倒れたと連絡をくれて、私が救急車を呼ぶように言ったの。もしかしたら頭とかぶつけたかもしれないし、診てもらった方がご両親も安心するから」

そうか…、荒木さんが救急車を呼んでくれたんだ。

「兄ちゃんがさ、『一緒に住んでいるのが男だって知ったらご両親がショック受けるから、一美が同居人として振る舞って欲しい』だって」
「荒木さんは今は?」
「今は俺達が住んでいる実家に暫く住むって」
「そう…ですか…」

離れちゃうのは寂しいな。

「大丈夫よ。こんな立派な部屋でゆっくり出来るし、沢山身体を休めてね」
「高坂専務がわざわざ相部屋からこの部屋にしてくれたみたいです」
「仁がね私に連絡した後、高坂にも電話をして『一美が紹介した物件に宝条さんが住んでいて、“たまたま”一美が宝条さんを飲みに誘おうと家に行って、返事がなかったから合鍵で入ったら倒れてる所を発見した』って、凄くない?そこまで話の設定を作るし、高坂なんて純粋に信じてるし、『相部屋なんてケチケチしないで俺が懇意にしてる医者に言うから、豪華な個室にしなよ』だって」

す、凄い…、荒木さんの話の設定の仕方に驚くし、高坂専務がこんな豪華な個室に手配をするなんて、あぁ、秘密の同居って色んな人に言えない分、気を付けていかないと。

「お父さん達にも同居人として振る舞って頂いて、沢山気を使って頂いて、ありがとうだけじゃ足りないです」
「良いのよ。先ずは仁にお礼でしょ?」
「はい、明日時間を見つけて連絡します」
「退院したら、俺が美味しい退院祝いのご飯をいっぱい作るから、あのシェアハウスで4人で食べようね」
「わぁ、楽しみです」
「今日はもう帰るから、高坂には遠慮しないで美味しい果物の盛り合わせを頼んで良いからね」
「はい、そうします!」

2人が部屋を出て行き、私はベットから降りてボストンバックを開いて下着を新しいのにして、寝間着に着替えて、自分のバックがあるかキョロキョロしたら椅子の側にあり、手に取ってスマホを探す。

メッセージだけなら部屋で使って大丈夫かな?

『今、病院の個室で目を覚まして寝間着に着替えました』

荒木さんに送ると既読になった。

『良かった。俺は三斗の部屋で寛いでる』
『救急車を呼んで頂いて、ありがとうございます。お父さんとお母さんが明日、高坂専務にお礼を言いに四つ葉に伺うと言っていました』
『分かった。今はちゃんと休んで』
『はい』

いつもシェアハウスで交わすような口調で、でもこんなに離れるのは寂しいな。

『日中は仕事で病院に行けないけど、夕方や夜に行く』
『取材やお仕事で忙しいと思いますので、大丈夫ですよ』
『会えないのが寂しいから、行く』

この伝え方…、ストレート過ぎて狡い。

普段前髪で表情が分かりづらいのに、こうして言葉で伝えてくれるから、心が温かくなる。

今は1人で良かった…、絶対ニヤけているのが自分でも分かるもん。

『私も寂しいので、待ってます。お休みなさい』
『お休み』

最後まで荒木さんらしいメッセージで、私はスマホをバックに入れて、ベットに入り込んで就寝の体制に入った。
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