スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
side荒木仁

宝条さんが入院生活の初日、取材をこなし、野球のイベントの見学や田所達の元へ合流してサッカーの練習を見学させてもらった。

7月号はサマーリーグが巻頭を飾るのは間違いがないし、田所も相当な気合が入っていて、この日は先日田所が体調不良で取材が出来なかった石井選手が所属するチームに再び来ており、水野と秋山も同行している。

田所が石井選手に丁寧に取材をし、秋山が距離を持ちながら撮影をしていると、水野もキャプテンに取材を始め、うん、3人も大分取材の形が安定してきているから、サッカー側は安心が出来そうだ。

「今日はあの女の子は来てないんですか?」

石井選手が言う“女の子”と言うのは宝条さんの事で、言ってもいいのか、言わないと嘘になるし、俺は石井選手の所に行く。

「実は宝条は体調不良で入院しており、明後日には退院予定です」
「そうなんですか?折角今日もゴール練習を観てもらいたかったなぁ」
「石井はあの娘を相当気に入っているもんな」

水野が取材しているキャプテンが会話に入るけど、気に入ってるの言葉に眉がピクッとする。

「キャ、キャプテン!その話はここでは」
「そう?聞いてくださいよ水野さん、こいつ朝に『ゴールキーパーの林選手との練習、全部ゴールしたらあの女の子に食事に誘うんで、良い店を探すの手伝って下さい』って、スマホでずっと探してるんですよ」
「へぇ宝条さんのこと、気に入っているんでー…」

水野がペンを動かしながらキャプテンの話をメモをし、俺に話を振ろうとこちらに顔を向けたら、水野はペンをピタッと止めた。

「どうした?」
「い、いえ…。早く退院したら良いなって」

水野は少し表情を引きつっていたが、キャプテンとの取材を続け、宝条さんって知らない内に男性に気に入られる体質なのか?ライバルが多いな。

「石井選手は今回のサマーリーグと通常リーグ、そして来月には日本代表戦が控えてます。それぞれの意気込みをお願いします」
「そうですね。通常リーグはー…、サマーリーグの初年度なのでキャプテンと一緒にー…、代表戦は林選手との約束があるので、俺がゴールを決めて、林選手の鉄壁な守りで相手に勝ち、ワールドカップへの道を切り開いてみせます」

石井選手の真剣な表情と話しに、その場にいる俺達も惹き込まれ、宝条さんがこの場にいたらこの雰囲気を味あわせてみたかったな。やっぱ宝条さんの存在を改めて感じ、現場にも出させたいが、ライバルに食事を誘われたら嫌だし、見守りが必要だなと、小さく息を吐く。
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