スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
side荒木仁
宝条さんの病室を出て行き、はぁと深い溜め息を吐いた。お見舞いに栄養を考えた物はいいと思うが、あの箱のメッセージは頂けない。
ナースステーションの看護師達に会釈して、エレベーターで1階に降りて退館手続きをして、腕時計を見て、タクシーで行けば取材先のシンクロの練習施設に時間通りに着けそうだ。
病院の正面にあるタクシー乗り場に停車をしているタクシーに乗り、施設に向けて走り出しながら、今日の見学の内容を頭で確認をする。
夏の大会に向けて幾つかの候補の楽曲と演技構成を作り、今回は2つを試すと監督が言っていたな。
20分程経つと施設に到着し、受付場所で名前と通行パスをもらい、通い慣れた廊下を歩いて練習用のプールに行き、見学席にいるシンクロの監督である女性の井上監督に挨拶をする。
「本日も見学をさせて頂いて、ありがとうございます」
「良いのよー。荒木さんも1年間、取材に来て頂いて嬉しいわ。あ、そこ!手の角度が後ろとズレてるわよ!!」
「すいません!」
井上監督は俺との会話の途中でも選手達の動きに注目していて、シンクロの演技は動き1つ1つ合わせていくから大変だけど、その動きがズレもなく合わさった時の演技は誰もが魅了されるだろう。
「次の取材に撮影をさせて頂くのと、私の部下で新人の宝条が見学と私や秋山達の撮影のサポートで同行します」
「あら、そうなの?撮影は歓迎だけど、くれぐれも練習の支障にならないように進めてね」
「ええ。三輪には飛び込み台からのアングルを撮って貰いますし、秋山は水中の撮影やプールに入って横のアングルを撮ります」
「秋山君なら前回の時もずぶ濡れだったわね。今回も濡れ具合を楽しみにしてるわ」
井上監督が笑いながら撮影当時を振り返り、暫く井上監督と撮影について盛り上がった。
見学を終え、選手達にも挨拶して、キャプテンの遠藤選手に次の取材の題材を話す。
「次は1年前の取材からこのチームの成長の部分をお伺いします」
「はい、よろしくお願いします!」
遠藤選手は濡れた髪をタオルで拭きながら返事をし、俺を見上げる。
「荒木さんは次の取材では、終わった後にお時間ってありますか?」
「秋山達のカメラのチェックをしないといけないので時間は…」
「この練習施設にあるカフェでお茶をすることも難しいですか?」
「………すいません。誤解をされたくないので、話しをしたいのなら井上監督を同席の上でお願いします」
「そう…ですか、でも最後の取材の日は話したいことがあるので、2分でも良いので、その時間を下さい!」
遠藤選手が頭を下げる姿に、どうしたものか。個人で会うなんて駄目だし、誤解をされたくはないと言ったのは、確実に宝条さんが誤解をしてきそうだと分かったから2人きりにならないように井上監督を巻き込む形で言ったが…。
「その2分は選手としてなら話しを聞きますが、そうでないのなら期待には応えられないです」
「……分かりました」
俺の返事に遠藤選手は身体をビクッとさせて、顔を俯かせたまま立ち去り、俺は小さく溜め息を吐いて、荷物を纏め、練習用の施設を出て四つ葉に戻った。
宝条さんの病室を出て行き、はぁと深い溜め息を吐いた。お見舞いに栄養を考えた物はいいと思うが、あの箱のメッセージは頂けない。
ナースステーションの看護師達に会釈して、エレベーターで1階に降りて退館手続きをして、腕時計を見て、タクシーで行けば取材先のシンクロの練習施設に時間通りに着けそうだ。
病院の正面にあるタクシー乗り場に停車をしているタクシーに乗り、施設に向けて走り出しながら、今日の見学の内容を頭で確認をする。
夏の大会に向けて幾つかの候補の楽曲と演技構成を作り、今回は2つを試すと監督が言っていたな。
20分程経つと施設に到着し、受付場所で名前と通行パスをもらい、通い慣れた廊下を歩いて練習用のプールに行き、見学席にいるシンクロの監督である女性の井上監督に挨拶をする。
「本日も見学をさせて頂いて、ありがとうございます」
「良いのよー。荒木さんも1年間、取材に来て頂いて嬉しいわ。あ、そこ!手の角度が後ろとズレてるわよ!!」
「すいません!」
井上監督は俺との会話の途中でも選手達の動きに注目していて、シンクロの演技は動き1つ1つ合わせていくから大変だけど、その動きがズレもなく合わさった時の演技は誰もが魅了されるだろう。
「次の取材に撮影をさせて頂くのと、私の部下で新人の宝条が見学と私や秋山達の撮影のサポートで同行します」
「あら、そうなの?撮影は歓迎だけど、くれぐれも練習の支障にならないように進めてね」
「ええ。三輪には飛び込み台からのアングルを撮って貰いますし、秋山は水中の撮影やプールに入って横のアングルを撮ります」
「秋山君なら前回の時もずぶ濡れだったわね。今回も濡れ具合を楽しみにしてるわ」
井上監督が笑いながら撮影当時を振り返り、暫く井上監督と撮影について盛り上がった。
見学を終え、選手達にも挨拶して、キャプテンの遠藤選手に次の取材の題材を話す。
「次は1年前の取材からこのチームの成長の部分をお伺いします」
「はい、よろしくお願いします!」
遠藤選手は濡れた髪をタオルで拭きながら返事をし、俺を見上げる。
「荒木さんは次の取材では、終わった後にお時間ってありますか?」
「秋山達のカメラのチェックをしないといけないので時間は…」
「この練習施設にあるカフェでお茶をすることも難しいですか?」
「………すいません。誤解をされたくないので、話しをしたいのなら井上監督を同席の上でお願いします」
「そう…ですか、でも最後の取材の日は話したいことがあるので、2分でも良いので、その時間を下さい!」
遠藤選手が頭を下げる姿に、どうしたものか。個人で会うなんて駄目だし、誤解をされたくはないと言ったのは、確実に宝条さんが誤解をしてきそうだと分かったから2人きりにならないように井上監督を巻き込む形で言ったが…。
「その2分は選手としてなら話しを聞きますが、そうでないのなら期待には応えられないです」
「……分かりました」
俺の返事に遠藤選手は身体をビクッとさせて、顔を俯かせたまま立ち去り、俺は小さく溜め息を吐いて、荷物を纏め、練習用の施設を出て四つ葉に戻った。