スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
3階に行き、取材の事と宝条さんが石井選手から貰ったお見舞いの事を話さないと思い、専務室に入ると高坂さんはいなくてさ橘さんだけがいる。

「高坂さんはいつ戻るか聞いている?」
「今は高坂社長と個人的なお話をされているようで、後30分は戻られません」

30分か…、会議室で仕事を進めて、後でもう一度来よう。

「会議室に戻る」
「あ、あの」
「何?」
「ここで待たないんですか?」
「7月号の進行を進めたいから戻る」
「でもー…」
「今は大事な原稿に向き合いたいから、俺には構わないで」

橘さんの言葉に被せて言い、俺は専務室のドアを開けて出て行き、廊下を歩いて会議室に戻った。

会議室に入り、田所と佐藤から7月号の原稿の進捗を聞き、2人共ノルマ3ヶ月の最後の対象となる7月号に相当気合が入っている。

「田所のサマーリーグは注目度はどうなの?」
「公式SNSが公開されたから話題は上がってきているし、その波に乗りたいな。高橋の水泳は?」
「代表の選考会が週末あって、高橋は今日も現地に行っている。写真も秋山に教えてもらった防水パーツを買って、より近い距離で撮影するってさ」
「秋山が四つ葉に来てからカメラの技術が上がったよな。俺も秋山に追い抜かれないように磨かなきゃ」
「水野も来てからAのサッカー側は原稿の精度が上がったって分かるよ。6月号のあの原稿は読み応えあった」
「俺も。でも荒木編集長の原稿が、誰にも読まれないのが本当に勿体ないです」

田所が俺に顔を向けて、俺が3日で書き上げた原稿について残念がる。

「編集部の皆に読まれればいい」
「それでも、あの文章の素晴らしさを俺たちだけって勿体ないです」
「ありがと。それを聞けただけでも、書いて良かった」

俺がそう言うと、田所と佐藤が俺の顔をじぃと見る。

「どうした?」
「荒木編集長が笑ってるの、もっと見たいです」
「俺もです。前髪があって勿体ないので、髪を上げて下さいよ」
「……嫌だし、前髪があったほうが周囲の視線をブロックが出来るから上げない」

俺が前髪を下ろしている理由を伝えると、2人は笑っていて、だからあまり自分の事を言うのは好きでもない。

また仕事を再開しつつ、高坂さんの所に行くなら橘さんがいない夕方にしようとスマホのメッセージで高坂さんに連絡し、本人からも『オッケ~』と来て、高坂さんと話しをしたらまた宝条さんの元に行こうと、会える楽しみをしながら自分の仕事を進めた。
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