スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
夕方、そろそろ橘さんは退勤している筈と思って会議室から出て専務室に行くと、高坂さんだけがいた。

「石井選手から宝条さんに栄養ドリンク等のお見舞いが届いた」
「あ〜、大学の同期の医者から聞いた。あれって個人的な理由で贈っているよな」
「そう。宝条さんはご両親にも話していて、お返しは自分からが良いか悩んでいる」
「難しいラインだよな。石井選手のイメージにも関わるし、一旦俺が間に入るよ。その方が宝条さんも仕事に支障が無いし、石井選手の監督や企業も俺からだったら話しを分かってくれるだろう」
「ありがと」

本当は俺から石井選手に宝条さんに関わらないで欲しいのと、一緒に同居をしている事、想いを寄せ合っている事を言えたらと思うが、この秘密の恋は俺と宝条さんだけの物だから、邪魔すんなって思う。

「しっかし、お見舞いが栄養ドリンクとか石井選手って面白いな」
「そう?」
「俺だったら相手に好きな物を聞いてから贈るよ。誰かのアドバイスかな?それにその場にいた医者が『石井選手の好意が宝条さんに全く通じていなくて、石井選手、可哀想に…と思ったよ』と電話で様子を教えてくれた」

高坂さんは目をキラキラさせながら様子を話してくれたけど、宝条さんが全く石井選手に興味が無いと分かって安心した。

でもまだ芹澤と亮二がいるし、もしかしたら今後の取材でも誰かに好意を寄せられそうだから、気が抜けないな。

専務室を出て会議室に戻り、皆の進捗を確認して残業をするなら11時までと告げ、俺は2階の編集部に行き、自分の席に座って7月号に向けてシンクロの撮影と個人企画の内容をノートに纏めようと鉛筆を取り出した。

個人企画の取材は今回はサッカーの審判を務める人達で、上手くサマーリーグと関連続けたらと思い、題材をノートパソコンで調べてノートに書いていく。

「ねぇ仁、宝条さんって退院するのって明日?」

水瀬に声をかけられたので鉛筆の動きを止めて、顔をそっちに向ける。

「そう」
「良かったぁ。スポーツ部の進行って俺達とは違うから、初心者だとついていくのが必死になるよね」
「これを機に体調管理をしっかりしてもらえればいい」
「うん、そうだよね」

水瀬はまた自分の仕事に取り掛かり、俺も再び自分の仕事に戻る。

そして2時間位して、四つ葉を出てタクシーを呼び出して宝条さんが入院している病院に向かった。
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