スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
◇退院と、秋山のことside荒木仁
side宝条真琴

「お世話になりました」

ナースステーションでお世話になった看護師さん達や、高坂専務の大学の同期の男性医師に挨拶し、私はボストンバックを手に持って1階にいるお母さん達と合流した。

お父さんが石井選手が私に贈った段ボールを持ち、3人で病院を出てタクシーに最寄り駅まで移動し、電車で藍山駅に向かい、改札を出て四つ葉のビルに向けて歩く。

4日ぶりに通る道が新鮮に見え、四つ葉のビルについて階段で3階の専務室に向かった。

私が専務室のドアをノックして開けて中に入ると高坂専務と荒木さんだけがいて、私達は高坂専務前に立つ。

「この度は娘が本当にお世話になりました」
「3日をお休みいただき、入院中もお見舞いに来て頂きましてありがとうございました。体調管理をしっかりします!」
「いつも宝条さんが頑張っているのは皆分かっているし、いっぱい美味しいご飯を食べて、いっぱい寝てね。休んだ分は原稿で返す!だよ?」
「はい!」

高坂専務って優しいな。

「上司の荒木です。無事、退院が出来て良かったです」
「娘がご迷惑おかけしました。この石井選手のお見舞いについて、お願いしてもよろしかったでしょうか?」
「はい。この後所属先の企業に高坂と一緒に対応しますので、ご安心ください」

荒木さんはお父さんから段ボールを受け取る。

「では私達は行こうか」
「ええ、そうしましょう」
「下まで見送るね」
「良いって。廊下で大丈夫」

3人で廊下に出て、お父さんが茶封筒を私に差し出す。

「同居人の荒木一美さんと美味しい物を食べなさい」
「ありがとう…、あのね、7月号が出たら家に帰って、美味しいご飯を食べよう?私が奢るから!」
「娘に奢られる日が来るとは、歳を取ったもんだな」
「そうね。真琴が出て行って、お父さんね『寂しいなぁ』って言うの」
「ここで言わなくてもいいだろう。ほら、帰るぞ」
「はいはい。真琴、またね。待ってるわ」
「うん!」

階段でお父さん達を見送り、両手で自分の頬をバチッと叩いて、よし!会議室に入ったら、先輩達に休んだ事を謝って、仕事で返そう!

私は廊下を歩いて、会議室に入っていった。
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